自閉スペクトラム症【公認心理師試験対策】

2021年2月26日

自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症は、先天的な脳の機能障害で、これまでは「高機能自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」と細かく分類されていましたが、アメリカ精神医学会が規定する診断基準であるDSM−ⅣがDSM−Ⅴに改定された際、自閉症として一連の症状として捉える意味で「自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)」と呼称されるようになりました。

■しかしながら、細かく分けて考えた方が支援を施しやすいということもあり、あえて分けて呼称する人もいます。

自閉スペクトラム症の症状

症状としては、①社会的コミュニケーションの困難、②行動や物事へのこだわり、があります。

①社会的コミュニケーションの困難で言えば、幼少期から人と目を合わせない、他者に興味を示さない、相手の話を最後まで聞かない、相手の気持ちを感じとれない、などの特徴が語られます。これにより、対人関係が上手く構築できず、生きづらさを感じることがあります。

②行動や物事へのこだわりで言えば、自分の行動を疲れ切るまで熱中して続けたり、興味のある物事について調べ尽くしたりして凄く細かいことまで知っていたりします。この特徴については、長所にもなるため家庭や学校での理解が得られることが大切です。

■自閉症というと、知的障害(精神遅滞や知的な遅れ)があるとされていましたが、今では分けて考えられています。もともと高機能自閉症やアスペルガー症候群は、「知的な遅れがないこと」が特徴だったので、自閉スペクトラム症とまとめられたことによって、知的障害は分離されました。

これらの特徴から学校や社会に馴染めず、生きづらさを感じたり、うつ病や統合失調症などの精神疾患を併発することがあるため、早期の発見・支援が重要になります。

自閉スペクトラム症の診断

自閉スペクトラム症の診断基準は、アメリカ精神医学会が規定するDSM−Ⅴに記載されています。下記などの条件が満たされたときに診断されます。

  • ①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
  • ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さなど)
  • ③発達早期から①②の症状が存在していること
  • ④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
  • ⑤これらの障害が、知的能力障害(精神遅滞)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

■自閉スペクトラム症とADHDは、似ているようにも思えますが、自閉スペクトラム症では「てんかん」を併有することが多かったり、治療や支援の仕方が異なることから、鑑別が必要とされています。

また、診断には「田中ビネー知能検査」や「ウェクスラー知能検査」「AQ」などの知能検査や普段の日常生活などの周辺情報から診断されます。

自閉スペクトラム症の支援

自閉スペクトラム症は、先天的な脳の機能障害であるため、治療という表現は適さないという見解です。支援は早期発見が大切で、家族や学校、公認心理師などチームで支援することが好ましいです。

学校や職場などでは「合理的配慮」という言葉が浸透し始めています。合理的配慮というのは、障害により社会適応が難しい人たちに、社会適応を求めるのではなく、社会が適応しやすい環境を提供するという考えのもと、理にかなった配慮を行うということです。