社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)【公認心理師試験対策】
社交不安症/社交不安障害
社交不安症/社交不安障害(Social Anxiety Disorder)は、社交恐怖(Social Phobia)とも呼称されている不安障害の1つです。
アメリカ精神医学会が規定する精神疾患の診断基準『DSM-5』では「社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)」と記載されています。1つ前の『DSM−4』では、「社会不安症/社会不安障害(社会恐怖)」と記載されていました。
社交不安障害は、他者から注目を浴びる場面において不安や恐怖があり、その不安と恐怖のために行動が制限さたり回避されたりすることで、社会生活に困難を感じる不安障害です。
若い世代で多く発症していることがわかっています。しばしば「予期不安」という言葉がキーワードとなっています。つまり、不安になるだろうという予測をしてしまうことで、その行動を回避してしまうのです。
社交不安障害の患者は、認知的側面に特徴があることが示唆されています。将来の社会的状況に対する否定的予測をしやすいこと、コストを高く見積もること、過去の社会的出来事を否定的に情報処理すること、自己の能力を否定的に解釈することなどがあげられています。
この意味で、社交不安障害の治療と支援には、こうした認知的特性を段階的暴露療法などの心理療法で低減することが推奨されています。また、不安に対するコントロール感を高めることも効果があると示唆されています。
不安の程度を臨床的に把握するために「LSAS:日本語版 Liebowitz Social Anxiety Scale」という心理尺度が使用されています。この尺度は診断にも使用することができます。他にも認知バイアスを測定する尺度もあります。これらを組み合わせて、診断が行われています。
主な症状
他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安がある。例えば、会食、発表、写真撮影など。
振る舞いをする、不安症状を見せることが、否定的な評価(恥をかくなど)を受けることになることを恐れる。
恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない。恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヵ月以上続く。
治療と支援
社交不安障害の治療は、段階的暴露療法などの認知行動療法的なアプローチが有効とされています。また、SSRIなどの薬物療法が行われることもあります。不安を低減する方法や不安に繋がりやすい認知バイアスを低減させることが主になります。
支援としては、若い世代に多いということからも、学校などの教育機関との連携が図られます。合理的な配慮で通うことができるケースもあれば、学校に登校することも難しく、通信制高校への転校や家庭学習により高等学校卒業程度認定試験を受ける方も多いようです。