『児童生徒の自殺者急増 コロナ禍の社会不安影響か(Yahooニュース, 毎日新聞)』に関する統計と感想

2021年2月16日。Yahooニュースに『児童生徒の自殺者急増』という毎日新聞による記事が取り上げられ、Twitterでもニュース・トレンドとなった。

2020年の全国の小中学生と高校生の自殺者数は前年比140人(41・3%)増の479人(暫定値)となり、過去最多を更新した。文部科学省が15日、明らかにした。文科省は「新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安が影響した可能性がある」(児童生徒課)としている。

『児童生徒の自殺者急増 コロナ禍の社会不安影響か』
毎日新聞 2021.2.15

Twitterでの反応では、イジメの増加、コロナの影響、自宅待機による虐待の増加、などが話題になった。

僕自身、教育臨床を勉強する立場上、この問題に対しては真剣に考えてみたい。

新型コロナ(COVID-19)と自殺者数

日本における新型コロナの感染拡大においては、2020年4月5月の状況は、男女の自殺者数は減少傾向がみられた。男性の場合、95%予測区間の下限を下回る過剰死亡率に負の値が認められています。

安西達彦・福井圭佑・伊藤翼・伊藤百合・高橋邦彦
(2021)疫学ジャーナル,31(2)

上記の疫学研究においては、新型コロナウィルス(COVID-19)による2020年4月と5月の自殺者数は、何らかの影響により減少していることがわかる。

しかしながら、厚生労働省の調査(2021)によれば、平成24年度〜令和元年まで自殺者数は減少傾向にあったが、新型コロナの感染拡大が問題となった令和2年の自殺者数は21,077人で、前年の20,169人よりも大幅に増えている。統計上、2020年10月〜12月は、ここ数年では、最も多い数になっている。

■ただし、日本の研究論文を見る限り、現時点では、自殺者数減少の理由まで追求されているものはない。また、児童生徒や若者のみを対象にした統計も存在していない。

新興感染症による社会不安

兵庫県こころのケアセンターの加藤寛は、日本トラウマティック・ストレス学会のホームページのおいて、『COVID-19パンデミックがもたらす心理的影響ートラウマティック・ストレスとの関連からー』を記載している。

今回のCOVID-19のような新興感染症のパンデミックが発生した際に、3つの心理的問題があるとしている。

1つ目は、感染に伴う不安と恐怖である。自身や家族が生命の危機に陥る不安と恐怖、そして、感染した場合に他者に感染させるかもしれないという不安と恐怖である。

2つ目は、環境の変化による影響である。隔離や行動制限によるストレスの蓄積、経済的困窮によるうつ病や自殺の増加、家族の密集性が増すことによるDVや虐待、学業の遅れやネット依存といった問題である。

3つ目は、情報による影響である。メディアで報じられる情報の不確実性や他者の楽観性などによる不信や混乱、ネットやSNSによる誹謗中傷、生活備品の不足などの情報の混乱による問題である。

■感染の有無にかかわらず、COVID-19によって生活が一変したという人も多いのではないだろうか。社会人であれば、自営業者の度重なる閉業、リストラ、病院への通院や介護の問題、子育てに関する問題である。若い世代であれば、感染防止のための不登校を選択する家庭、教育活動の停止と制限などである。また、企業の経済状況によっては、就職することが難しくなっていることも推察できる。

個人的な感想

■以下、科学的根拠はなく、個人の感想となります。

現時点の統計的データの少なさから、何かの要因を明らかにすることはできません。ですから、以下は僕の感想ということになります。

僕は、SNSで悩みを抱える若者の声を聞くことがあります。具体的に虐待の内容まで投稿する者もいれば、虐待する親への憎悪、そして希死念慮を表すような投稿も目にしています。

特に新型コロナによって急増したということは感じていません。ただ、考慮しておきたいのは、虐待の増加、イジメの増加、中には経済的困難に至り、親が精神的に追い込まれるなどです。それによるDVや虐待も考慮し、対策する必要があると考えます。

以上のように、子どもたちに直接的に影響している部分もあれば、間接的に影響している部分もあると思います。

最後に

児童生徒、若者の皆さん、助けを求めてください。学校にスクールカウンセラーがいる場合は、担任の先生や話しやすい先生にお願いして、紹介してもらってください。

うつ症状があれば医療、DVや虐待があれば福祉との連携が必要になってきます。皆さんの状態を自分だけで判断するのではなく、少しでもおかしいと感じたときは、助けを求めて、適切な支援を提案してもらってください。皆さんには、支援を受ける権利があります。

また、学校にいる人に相談できない場合は、厚生労働省の相談窓口(↓)を利用してみてください。

【厚生労働省 相談窓口】

■SNSには、若者の皆さんを狙う悪い人もいます。SNSで同じような状況にある人同士で励まし合うのはよいのですが、実際に会うのは避けたほうがいいと思います。また、精神的に弱っている人を狙って悪口を言ったり、スクリーンショットを撮って煽るような人もいます。SNSの利用にはくれぐれも注意してください。

参考引用文献