【中学生の不登校】過剰適応と不登校の関連について

2020年12月30日

こんにちは。中津です。

今回は、かなり難しい内容です。しかし、とても有益です。なるべく理解しやすく解説するので、諦めずに読んでいただけたら幸いです。かなり噛み砕いて説明しますので、本質とのズレが生じる可能性があります。ご了承ください。

参考・引用させていただくのは教育心理学研究誌に掲載された石津先生の2008年の研究です。

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学校適応感

学校適応感とは、不登校傾向を示す指標として日本教育心理学会で発表された研究論文によく登場します。

学校適応感は、「教師関係安定性」「友人関係安定性」「自己有用感」「学校生活充実感」で構成されています。要するに、これら4つが低い場合は、不登校のリスクが高くなると言えます。

過剰適応とは

過剰適応とは、環境に適応しようと無理をしてしまうことです。例えば、先生や友達の目が気になって、本当はあまりやりたくない仕事を積極的に行ったり、勉強や運動も無理して頑張ったりすることです。

過剰適応と学校適応感の関係

結論からいうと、過剰適応を示す子は、学校適応感が低くなります。つまり、不登校のリスクが高くなると言えます。

過剰適応を示す子は、周囲からは優等生に見えます。心の疲労に気づかれにくく、溜まってしまった疲労が爆発するように不登校へと至ってしまいます。教育の領域では、「優等生の息切れ型の不登校」と言われています。

おそらく家でも親の手伝いをしたり、真面目で優しい子が多いのではないでしょうか。学校生活で無理をしてしまい、家でもゆっくり休むことができない子たちです。大人が気づいて、休むように言ってあげてください。

また、石津先生の論文では、言及されていませんが、僕はADHDや自閉症スペクトラムの特性が影響するとも考えています。落ち着いて居られず、何かに気がつけば動いてしまったり、自分の疲れを把握できずにエネルギーが尽きてしまったり、そういった要因もあると思うからです。

また、臨床心理学ではアレキシサイミアといって、自分の感情を知覚、認識、表現しづらい特性を持つ人がいることが分かっています。これも過剰適応の要因になり得ると推測します。

過剰適応を緩和してあげたい

教育現場においては、手のかかる子とかからない子がいて、多くの教員は手のかかる子に付きっきりになってしまいます。こればかりは仕方ないのですが、その裏で手のかからない子でも、何かしらの負担を感じているわけです。

普段は、褒めてもらえるので余計に頑張ってしまうのかもしれませんし、親の期待に応えたくて無理しているのかもしれません。そこまでは、普通は感じ取ることはできません。ただ、どの子にでも不登校になるリスクはあります。

「無理してない?」「疲れてない?」の一言で肩の荷を下ろせる子もいるはずです。手のかからない子には、つい手伝いをお願いしたくなってしまいます。勿論、信頼性も高まるので悪いことではありませんが、たまにでも気にしてあげてください。

過剰適応を緩和するには、脱力できる居場所が必要だと思っています。その大きな役割を担うのはご家庭です。学校や塾で頑張ってきたのであれば、家では自由にゴロゴロさせてあげてください。

英才教育に物申す

最近は、英才教育といって、習い事だけじゃなく、家でも勉強させたりするご家庭が増えています。不登校の支援、元高校教員として思うのは、「保護者の想いと子どもの想いが一致しているか、また保護者の期待が強すぎないか」と言うことです。

こう聞くと批難される方もいらっしゃることと思いますが、子どもの本当にやりたいことを保護者が支援している構図であれば、上手くいくと思うのです。しかし、保護者の想いが空回りして、子どもに押し付けているような構図だと尽く上手くいっていません。これは、あくまで僕の知っている範囲の情報です。

子どもが大人になって、「厳しく育てられてよかった」というケースが目に付きやすいですが、逆もありますよ。不登校、ひきこもり、精神疾患、非行、絶縁、僕はこちらのケースの方をよく知っています。

子どもにとって、親の期待は時に嬉しく、時に負担になります。本当に子どもを大切にしたいのであれば、ここのところを再考されてみるのもよいかもしれません。

最後に

いかがでしたか。

過剰適応には、様々な要因が隠れていると思います。優等生が急に不登校になったり、窃盗や暴力といった非行に走ったりするケースは、少なくないのです。子どもの心の状態を普段からよく観察して、声掛けを忘れないようにして、支援してみてください。

今回は、ここまでです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

不登校,臨床心理学

Posted by Cozy