完璧主義のカウンセリング

2021年5月8日

完璧主義とは

完璧主義(Perfectionism)は、臨床心理学においては「完全主義」と言われ、研究が蓄積されています。

完全主義は、うつ病との関連があり、来談者中心療法における自己受容を妨げる要因でもあります。

完全主義には、自らの意思で高い目標を掲げて臨んでいける目標志向型と、他者の評価を気にするあまり高い目標を設定して精神的に疲労してしまう他者意識型があると言われています。

完全主義は、この両方がうつ病と関連がありますが、それぞれアプローチの仕方が異なります。

完璧主義のカウンセリング

目標志向型の完全主義は、強い精神力がある人が多いように思います。ただ、完全主義を他者に強いてしまったり、高い目標を掲げるがゆえに成功体験が少なくなったりして、精神的に負担がかかりやすいとも言えます。

目標志向型の完全主義に対しては、他者との関わり方の改善や偏った考え方を緩和していく方向でカウンセリングを進めていきます。また、目標設定の仕方として、実現可能性や周囲との連携についても考慮できるようにするなど、考え方に柔軟性を持ってもらえるよう支援します。

他者意識型の完全主義は、自分の意思で高い目標設定するというよりは、他者に褒めてもらいたい、他者に低い評価をされたくない、という意識が働いています。そのため、自分の本当にやりたいこととのギャップがあったり、他者評価というプレッシャーを感じ続けたりすることで、精神的に負荷がかかります。

他者意識型の完全主義に対しては、自己評価の在り方を振り返り、ありのままの自分を大切にできるように支援していきます。また、親や周囲の人物の期待や評価が過剰な場合は、対人関係療法として、周囲の他者との関わり方を考える支援も必要になります。

認知行動療法

認知行動療法では、完全主義には「自動思考」と呼ばれる考え方の癖が存在するとされています。

例えば、完全主義には、白黒思考(0か100思考)のように、極端な自己評価ばかりしてしまう癖があって、途中経過にある学びや経験を評価せず、結果だけで自己卑下してしまうこともあります。

自動思考は他にもあります。このような自動思考をカウンセリングにより緩和・減少させることで、完全主義によるうつ病を治療することができます。

■完全主義のカウンセリングでは、論理療法という非合理的な考え方を論駮(ろんぱく)していく方法もありますが、クライエントの特性に応じて支援方法を考えていきます。

完全主義に対する認知行動療法では、日記を書いてもらうなど、宿題をお渡しすることもあります。クライエントの状態や状況を考慮し、提案をさせていただきます。最終的には、こちらが提案する療法を選んでいただき、カウンセリングを進めていく形になろうかと思います。

▼認知療法の第一人者である大野先生の書籍です。「うつと不安」と書いてありますが、自動思考を緩和するための日記の書き方などが紹介されているので、カウンセリングに通いづらいという方は、チェックしてみてください。

【内部リンク】完璧主義の緩和方法