【完璧主義をやめたい】臨床心理学で考える完璧主義の緩和方法

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完璧主義とは

一般的にいう「完璧主義」は、臨床心理学の領域では『完全主義』と呼ばれて、研究が蓄積されています。(以下、完全主義と呼称します。)

完全主義は、過度に完全性を追求する特性のことです。完全主義には、適応的な側面と不適応的な側面があります。

適応的な側面としては、自己成長や自己実現を志向する過程で、自主的に高い目標を持ち、細かいことに対しても妥協をせず、より高い成果を追求することができます。これを「自己追求的完全主義」とも言います。

不適応的な側面としては、失敗やミス、社会的評価を気にする特性がある場合に、期待に裏づけられた高い目標にとらわれ、自尊感情が低下します。これを「他者意識的完全主義」とも言います。

完璧主義は、これらの特徴からメランコリー型うつ病(真面目や神経質による息切れうつ病)や社交不安障害などと関連があると言われています。

Yap et al.(2016)では、自己に対する否定的評価を恐れる傾向がある者、自己に対する肯定的評価を恐れる傾向がある者は、完全主義の傾向が高いほど社交不安が高いことが示されています。

完璧主義による不適応

上述のとおり、完全主義は、うつ病や社交不安障害などのリスクを高めています。しかしながら、完全主義の人は、学業成績や仕事の業績が良い場合もあり、これらの不適応を自覚しにくいと考えられます。

そのため、多くの人は、実際に不適応状態に陥り、自身が困り感を明確に抱いた場合にカウンセリングを受けるに至ります。

また、他者意識完全主義の人は、自ら高い目標を立てて目指しているわけではないので、他者評価からの回避行動をとることがあります。それが「優等生の息切れ型の不登校」や引きこもりに繋がっています。

不適応状態の治療

Flett,Davis,&Hewitt(2003)では、臨床心理学における来談者中心療法のゴールともされている「自己受容」ついても、完全主義は負の関連があることが示されています。

自己受容とは「自己をありのままに、良い面も悪い面も受け入れ、将来を肯定的に捉えられるような態度に至ること」を指しますが、完全主義があることで自己受容が妨げられてしまうのです。

ですから、完全主義によるうつ病を治療する場合は、まず完全主義を緩和することから始めなくてはなりません。こうした特性は長年の経験から身に着いたものですので、それなりの時間がかかります。

認知療法

認知療法は、うつ病の治療に有効とされる心理療法です。認知療法の考えとして、うつ病に至った人の多くは、「自動思考」という考え方のクセ(認知の歪み)があるとしています。

新井(2001)によれば、不合理な信念(合理的でない考え方)は、自己受容に負の影響を与えることが示されています。この不合理な信念は、Elise,Aが提唱した論理療法における重要な概念です。

認知療法では、この自動思考を減少させていくことで、うつ病の症状を緩和させていきます。自動思考は、完全主義を考慮して規定されているので、完全主義そのものを緩和するためにも有効な手段と言えます。

自動思考の種類

自動思考には、以下があります。

白黒思考(0か100か思考):既に達成できている部分、最終目標までの過程で成果など、間にある価値を見ないで「良いか悪いか」といった極端な捉え方をすること。

根拠なき決めつけ:根拠がない、ほとんどない状態にもかかわらず自分の経験や感情から物事の解釈を決めつけてしまうこと。

部分的焦点思考:そのとき自分が着目している部分だけをみて、短絡的に物事を結論づけること。

過大・過小評価:自分の関心があることは過大に捉え、関心がないことは過小に評価すること。

「べき」思考:自分の価値観で「〜であるべき」「〜すべきでない」と思考と行動を制限すること。

極端な一般化:僅かな事実を取り上げ、物事の多くが同様の結果になると決めつけること。

自己関連づけ:良くないことが起こると自分のせいだと思い込み、多くの責任を感じてしまうこと。

実現的予言:「うまくいかないだろう」と行動する前から自分の結果を予測して、自らその通りにしてしまうこと。

■研究者やカウンセラーによって自動思考の扱い方は異なることがありますが、大抵はこのようなかんじです。

セルフ認知療法

認知療法は、基本的にはカウンセラーの指示のもと、日常的に現れる自動思考を一緒に捉え直していく作業が必要です。しかしながら、まだ不適応状態に至らずとも、「完璧主義をやめたい」という方もいます。

本章では、そのような方たちために、上述の自動思考を緩和させていく方法を記していきます。

認知療法はをセルフで行う場合は、日記をつけることをおすすめします。『今日、嫌悪感を抱いた出来事(瞬間)』をテーマに日記をつけていきましょう。

この日記を書いた次の日、その日の日記を書くわけですが、その際に前日の日記を読み直して「自動思考」に陥っている部分を客観的に評価してください。マーカーを引いていくとわかりやすいです。

自動思考があった場合は、客観的にコメントをつけていきましょう。例えば、『友達にテストの点を聞かれ、いやいや85点と答えたら、凄いと言われたが、複雑な気持ちになった。』とあれば、

「完璧を求めすぎ!先生があえて難しい問題を出したのかも。たぶん成績は5になる。他の教科も難しかった中でよく頑張った。」など、自分の自動思考を指摘しながら、自分の良かった点を褒めてみてください。

これを自動思考(考え方の癖)に上塗りしていって、習慣化することができると、リアルな日常的の中でも自動思考を防ぐことができるようになっていきます。

そして、自動思考の緩和が進んでいく過程で、「自分はダメな人間かもしれない」と自己嫌悪に陥ることもありますが、その場合は『自己受容』を意識してください。

自分の良い部分も悪い部分もありのままに受け入れてみてください。認める、許すという過程を経て、新たな自分が見えてくるようになります。

最後に

僕も大学生のときに完璧主義をこじらせて、身動きが取れなくなって、酷い状態まで陥った過去があります。僕はカウンセリングなど、人に頼ることが苦手だったので、大学院で臨床心理学を学びながら、自己を治療していきました。

論文や書籍で、自己理解を深め、ひたすら考えながら散歩したりして、改善していきました。でも、皆さんはできるだけカウンセリングを頼ってください。きっとそっちのほうが安全で、効果的だと思います。

引用参考文献

  • Yap,K.,Gibbs,A.L.,Francis,A.J.&Schuster,S.E.(2016)Tasting the bivalent fear of evaluation model of sosial anxiety , Cognitive Behavior Therapy,45,136-149.
  • Flett,G.L.,Besser,A.,Davis,R.A.,&Hewitt,P.L.,(2003)Dimensions of perfectionism, unconditional self-acceptance, and depression , journal of Rational-Emotive&Cognitive-Behavior Therapy, 21(2),119-138.
  • 新井幸子(2001)理想自己と現実自己の差異と不合理な信念が自己受容に及ぼす影響 心理学研究,72(4),315-321.

臨床心理学

Posted by Cozy