フリースクールの開業と閉鎖【経営のヒントと失敗】

2021年2月22日

本日、フリースクールを閉鎖することにしました。当、フリースクールは2020年10月にオープンしましたが、この2021年2月で閉鎖する決断を下しました。その理由をお話したいと思います。今後、フリースクール開業を考えている方のヒントになれば幸いです。

閉鎖の理由

まず、子どもが集まりませんでした。これは、土地柄が大きく影響しています。僕は地元に貢献したいという思いで、開業地を選んだわけですが、市の不登校児の数は、統計上、約200人います。

チラシを配布したり、SNSで宣伝をしました。問い合わせの連絡は、あったものの、ご家庭の経済的理由で難しいという方が多かったです。

僕は、月謝制で月30000円と設定していました。これは、運営するためのギリギリの値段設定です。家賃や生活のために少なくとも月に10万円はかかります。生徒が4人きてくれて黒字になります。

しかしながら、生徒がきたとしても、その子の状態に伴い、ほとんど来られない子に対して、同じように月謝をもらうわけにもいきません。

約200人中、経済的理由により支援が受けられない家庭がどれほどあるでしょうか。加えて、子どもを預けるということは、送迎も必要になるということで、仕事との兼ね合いもあるでしょう。

結果的に、実際にフリースクールに入会された方はいませんでした。夜は個別指導塾としても開いていて、そこには来ていましたが、この子は高校受験が終わり、卒業となりました。

約200人いたとして、経済的理由、距離、情緒的理由などで、実際の入会可能性がある母数は50ほどだと考えています。

ビジネス的な考え方をすると、市場価値が重要です。例えば、需要や市場です。

フリースクールの需要はそれなりにあります。しかし、今後はオンラインや都道府県が管轄する公営教育施設に注目が集まると予想できます。この点、小規模なフリースクールは厳しくなると思います。

市場は、いわゆる母数のことです。小中学生の不登校は全国に18万件あります。しかし、フリースクールの入会に至るのは4%以下です。それも大多数は都市部だと思って間違いないでしょう。

SNSを通じて、フリースクールを運営されている方と交流があります。東京、埼玉、千葉、大阪、福岡のあたりでは、生徒がほぼ満員に達して運営が安定しているようです。しかしながら、大きな母体があるNPOが運営するフリースクールでも、地方では経営に苦戦しています。

僕自身、物欲も金欲もないため、自分一人が生活できる程度に稼げたら、あとは楽しくやっていけると思って始めましたが、その考えすら甘かったのかもしれません。

宣伝の仕方

宣伝というと、チラシをポスティングしたりすることを思いつきますが、地方では効果が薄いです。住宅が密集していなかったり、密集しているところは子どもがいない若い世帯や高齢者の世帯、子どもが既に自立している世帯が多いようです。広範囲にポスティングすると高額になっていきます。

最も良いのは、学校や知り合いの先生にアピールすることです。資料を準備し、学校に連絡します。おそらく校長の許可が必要になると言われます。そこで、実際に学校に足を運び、資料を渡して説明をします。

フリースクールは、文部科学省の通達により小中学生の出席扱いが認められる場合があります。その条件は、校長または学長などの管理者が本来の教育課程などから精査し、フリースクールの活動が出席扱いするに値するかを判断します。また、保護者とフリースクールと学校、この三者の連携が取れることが条件です。

フリースクールとしては、出席日数や活動の報告をする必要があります。書類でまとめて、定期的に学校に送付する形になろうかと思います。

このやりとりも必要になることから、直接的な営業が効果的と言えます。また、学校側もフリースクールを運営する側の人物像を知ることもできるため、話が進みやすいと思います。

ホームページの作成

これは、宣伝をする前に行ってください。無料のホームページ作成サイトでも十分です。料金や活動内容、入校手順、アクセス、連絡先などを載せておけば大丈夫です。

印象としては、子どもたちが活動している写真を載せることが大切なのですが、最初は子どもがいないので、それもできません。随時、更新していくとよいでしょう。

子どもの写真を載せるには、保護者の許可が必要です。ホームページを作る際に、どこかの写真を勝手に使ったりするのはトラブルのもとです。必ず自分が撮影した写真を使いましょう。一番、保護者が安心するのは、子どもの写真を載せないことだと思います。

子どもの写真を使用するときは、目的や期間を保護者に説明して、同意をもらってください。また、顔が写らないように、後ろから撮影するのが良いと思います。

ブログは書きましょう。不登校支援についての専門性のアピールや活動の雰囲気などをブログで綴ることで、ホームページを見てくれた人が、入会を検討する際の判断材料になると思います。

個人開業する方へ

僕自身、個人開業ですが、逃げ道(保険)は作っておいて正解だったと思っています。フリースクールの経営は、やってみないと分からないことが多すぎます。どれだけ需要があるのか、どれだけアクションがあるのか、始めてもいないのに調査することができません。

その意味で、あらかじめ「○○ヵ月までやってみる」という姿勢で、上限を決めたほうがいいです。僕の場合は、2020年10月〜2021年4月までは、精一杯やってみると決めてスタートしました。その結果、予想以上に上手くいかなかったので、撤退することを決意しました。

僕は、『公認心理師』という初めての心理学の国家資格ができたので、それに挑戦しました。もうすぐ結果がわかるのですが、もし公認心理師に合格できたら、その資格を活かして就職しようと思っています。

また、元教員なので、教員免許は持っています。何とか就職できると思っています。あと、年齢も考えました。僕は28歳ですが、30歳になると転職も難しくなるだろうと考えて、頑張る期間を設定しました。

このように、もしダメだったときのことも考えて準備するのが良いと思います。初めから逃げ腰かもと自分も思いましたが、結果的に良かったかなと思っています。

リスクを最小にする方法

一番、良いのは自宅で開業することです。持ち家であれば、別途の賃料はかかりません。僕はアパートの一室で開業しました。アパートを契約する前に、サイトで『事務所利用可』などが書かれているアパートを探してください。

僕は、2LDKのアパートを事務所兼住居として借りました。一部屋にベッドやデスクを置いて仕事部屋と寝室として、もう一部屋は子どもの遊び部屋として使っています。リビングは、日中は子どもがいますが、それ以外は普通に使えばいいのです。

実際に、利益が出始めたら税務署に開業届を出すのですが、青色申告書を提出することで、確定申告の際に、経費として賃料の事務所利用分を請求できます。青色申告による上限は64万円なので、数ヵ月分の負担を軽減できます。

とはいえ、僕は利益が確定申告をしなくてはいけない規定より出なかったので、開業届は出していません。ですが、今後も普通に住居用アパートとして借り続けることができるので、初期費用や引越しは必要ありません。おそらく40万円くらい節約できます。

開業と閉鎖への想い

開業は、地元である同市への恩返しと、教員を退職して別の方法で教育を支えたいという想いによるものでした。開業の準備は楽しく、色々な方に声援を頂いて、何とか形にしようと頑張りました。

しかしながら、これまでの貯金などを考えると長く居座ることもできずで、上限を常に意識した運営となりました。ただ、少なからず人のためになっていたので、そこは満足できています。

閉鎖にあたっては、ただ時間が過ぎる日々に限界を感じました。いくら人のためになったとしても、生活できないと意味がないと思い、閉鎖を決意しました。教員の知り合いや保護者の方々に声援をいただき、退きにくくなっています。フリースクールは完全に辞めますが、保護者支援のカウンセリングや個別指導。としては形を残そうと考えています。

まずは、就職して、仕事に慣れて余裕ができたら、また休日だけでも繋がりを続けていけたら幸せです。

最後に

フリースクールを経営している皆さま、フリースクールは素晴らしい仕事だと思います。僕自身は、上手くできませんでしたが、形にして社会貢献されている方も沢山います。今後の活躍を願っています。

皆さま、暖かい声援、本当にありがとうございました。

Cozy 代表 中津仁志