公認心理師「食えない やめておけ」と言われる理由【年収500万円の壁】
はじめに
公認心理師・臨床心理士は人気がある職種です。これは概ね自分の人生で心理的な挫折や苦労を経験してきた人が、同様の経験をしている人を救いたいとする動機が大きく影響していると推測します。
4年制大学における心理学部の偏差値は高く、入学希望者も多い傾向があります。公認心理師や臨床心理士となるためには、大学院の修士課程(博士前期課程)において必要な単位を取得した後に修了する必要があります。
これにより受験資格を得ることができ、試験に合格することで晴れて公認心理師・臨床心理士となることができます。
しかしながら、これは資格取得者となるだけで、就業するためには就職活動もしくは開業等が必要です。
以上までの話でお分かりだと思いますが、公認心理師・臨床心理士となり、心理職として働くためには大きな苦労を要します。
公認心理師はやめておけ
SNSやネットで公認心理師・臨床心理士の情報を得ようとすると、一度は目にする【食えないからやめておけ】問題があります。
『食えない』とはどういうことなのか。
前章で「公認心理師・臨床心理士は人気がある。」と話をしました。一方で、公認心理師・臨床心理士の仕事は1施設に少数いれば良しとする場合が多く、非正規雇用が多い現状があります。
例えば、精神科病院におけるカウンセラーは、大きな病院だとしても数は僅かで、精神科医の指示のもと看護士が多くの仕事を担います。
カウンセラーはカウンセリングや心理検査を担うわけですが、実施回数は多くないため、1つの病院に何人も必要ということはありません。
また、児童福祉施設におけるカウンセラーは近くの施設を兼任することも可能なため、会社あるいはNPO法人1つにつき数人配置しておけばいいわけです。
このように考えると、公認心理師・臨床心理士は人気があるけど、就業先が溢れてしまって、正規雇用されないのも納得できます。
また、カウンセリングや心理検査を提供するカウンセリングルームに就職したとして、1回60分のセッションで5000〜10000円の収益があったとしても、1日に行えるセッション回数には限りがあるので、時給は3000〜5000円が妥当なところです。
経営的な目線で見ると、正規雇用で公認心理師・臨床心理士を雇うと利益率が低く、セッションをしていない時間の給与を出したくないと考えるのが普通です。
つまり、こうしたカウンセリングルームでは非正規雇用で1セッション毎に報酬が発生するイメージで働くことになります。要するに集客力が大切です。
これには、カウンセリングの腕も関わってきます。腕が良ければ、クライエントは信用して何度も利用しますし、口コミで次のクライエントを呼ぶこともできます。経営者としては、腕の良くないカウンセラーは非正規雇用で切りやすいほうが都合が良いのです。
苦労するが稼げない
公認心理師・臨床心理士は上述の現状があって、平均的な年収は低いと言えます。中には中央値よりも大きく稼いでいる方もいますが、それは公認心理師・臨床心理士を持ちながら、医師や看護師等の資格を軸に仕事をしているか、経営者であることが多いです。
したがって、通常の正規雇用や非正規雇用では、苦労に見合わない給与で生活していくことになります。
収入を増やす工夫が必要
公認心理師・臨床心理士は、非正規雇用では生活が苦しい場合もあります。結婚して子どもが生まれたりすると、年収300万円ほどでは苦しいです。
SNSを見ていても、多くの公認心理師・臨床心理士が兼務もしくは副業をしていることが分かります。
僕自身、公認心理師で普通に生活はできていますが、苦労に見合っているとは思いません。ですから僕はブログや投資で収入を増やしているところです。
他にもスクールカウンセラーを週3で勤務し、残りの日は個人開業でカウンセリングを行っているという方もいます。少しでも生活を楽にするために工夫が必要です。
この話を知り、『公認心理師・臨床心理士って大変だからやめとこう。』と思う方もいて当然だと思います。一方で、人を導く仕事ではあるので、やりがいはあります。よく考えてみてください。
自分で仕事を取りに行けるか
通常、一般企業に就職すると、会社側から仕事を振られて仕事をすることができます。一方で、カウンセラーとして生きていくのであれば、営業力が必要になります。
カウンセリングで生計を立てようとすると、カウンセリングを行う場所の確保(ネット環境でも)をします。次に顧客を集める必要があります。
自分で営業して、学校や病院などを訪問したり近所にチラシを配布したりホームページを作って公開したりSNSで情報発信したりする手間があります。
人の多い都市部であれば、集客しやすいですが、郊外や地方では集客が難しいです。
公認心理師や臨床心理士になりたいと漠然と考えている方にとっては小難しい話になってしまっていますが、これが現状です。
運良く十分に稼げる会社に就職できればよいですが、こうした苦労するケースもあることを意識しておいてください。
将来性を考える
カウンセリングは贅沢品です。心に傷を負いながらもカウンセリングを受けずに何とかやってきた人がほとんどです。
眼科や耳鼻科、歯科、健康診断などには定期受診するものの、カウンセリングを受ける人はほとんどいません。カウンセリングを受ける人は、自分ではどうしようもないレベルで助けを求めてくるケースが多いです。
また、助けを求める場所として病院やクリニックを選択することが多く、カウンセリングルームのような場所に助けを求める人は更に少ないわけです。
このように考えると、需要は少ないように思えます。しかしながら、薬で治すことができない精神的疾患や発達障害、思考や信念などにおいては、その改善方法や支援方法を知りたい方は多いです。
需要があるにもかかわらず、上手く繋がっていない状況です。これが今後、保険適応や社会保障の対象となるようであれば、カウンセリングを受ける人が増えていくかもしれません。
最後に
公認心理師・臨床心理士は苦労しています。その苦労を知った上で、それでも『やりがい』を求めているのであれば、ぜひ目指してみてください。
僕は、子ども領域ですので、子どもの笑顔を見ることを嬉しく感じています。まだまだ自分のしたいことができていませんが、公認心理師の仕事は素敵です。
ぜひ仲間に!