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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア【感想】

2021年4月19日

機動戦士ガンダム

『機動戦士ガンダム』は1979年に始まったアニメで、ファンの間では「ファースト」と呼ばれる。宇宙世紀という歴史の中で巻き起こる戦争をテーマにしている。

宇宙世紀とは、人間が増えすぎた地球で宇宙への移住が開始された記念日を境に使われるようになった年号のことである。宇宙にはスペースコロニーという居住空間が造られ、移民者はコロニーで仕事、結婚、子育てなどを行うようになった。

しかしながら、数多いスペースコロニーを統制する意味で、地球連邦政府が設立され、地球に住む政治家による政治的支配を行われるようになった。勿論、これに反対する者も多く、地球に住む者たちと宇宙に住む者たちとの亀裂が生じるようになる。

■少し話が前後するが、宇宙世紀が始まった記念祭典では、テロリストによる爆破事件が起こる。これはラプラス事件と呼ばれ、実際は政治的意味を持つ暗殺事件とも噂された。(『機動戦士ガンダムUC』で語られている。)

そこで立ち上がったのが、ジオン・ズム・ダイクンである。宇宙世紀0057年。彼は政治家としての力を持ち、宇宙に住む者(スペースノイド)が地球連邦政府から独立することを目的に、演説を行おうとする。

しかし、ジオン・ズム・ダイクンが演説を行う直前、彼の立ち位置を狙っていたデギン・ソド・ザビにより暗殺されてしまう。デギンはダイクンの死を「地球連邦政府による暗殺」として、スペースノイドの支持を得る。そして、その力を強めるべく独立国家『ジオン公国』を創立する。

これらが地球連邦政府とジオン公国との戦いの経緯である。この戦争は1年間に渡り、地球と宇宙の多くの人を亡くした。後に『一年戦争』と呼ばれ、後世に語り継がれることになる。

ここで、一年戦争の裏側にあったシャア・アズナブルとジオン公国の関係について語っておきたい。シャアの本名は「キャスバル・レム・ダイクン」である。御察しのとおり、キャスバルはジオン・ズム・ダイクンの息子である。

キャスバルは、ジオンの死がザビ家による暗殺であることに気づいていた。これがシャアがザビ家に対して持つ復讐心の正体である。

もう1つ語らねばならないことがある。それはシャアが長年持ち続けている地球人への嫌悪感についてである。

シャアの母親はアストライアである。しかし、父であるジオンとは愛人関係であった。つまり、シャアは複雑な家庭の長男として育つのである。シャアと妹であるアルテイシア(後のセイラ・マス)は、ジオンが死に、ザビ家に狙われる恐れがあることから、ランバ・ラルに救われる形で、逃げ回ることになる。

ランバ・ラルは、ジオンの正妻であるローゼルシアを頼り、一時的にシャアとアルテイシア、アストライアを匿ってもらうよう依頼する。ローゼルシアは当然のことながら、これをよく思っておらず、狭い部屋で粗末な支援しかしなかった。

その後、シャアとアルテイシアは、地球に降ろされ、金持ちの家庭の養子として育てられることになる。このとき、名前を伏せる意味でもシャアはテアボロ・マス、アストライアはセイラ・マスと名を変える。

しばらくして、アストライアの不審な死を告げられる。シャアにとっての肉親は妹のアルテイシアだけとなり、2人は心の底に闇を抱える。

シャアは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において、「ララァは私の母親になってくれるはずの人だった」と言っており、ニュータイプであるララァに母親を重ねていたのだろうと推測できる。

一年戦争の最中、宇宙で戦う中で、感受性が高く、特異な能力を持つ者「ニュータイプ」に覚醒する者が現れる。その一人がシャアの最大のライバル、アムロ・レイである。シャアはララァと出会い、アムロもララァと出会う。シャアはアムロとの出会いによりララァが変わってしまうことに嫌悪感を抱き、アムロとの決着をつけようとする。

しかし、戦いの中で追い詰められたシャアを身を呈して守る形でララァが死ぬ。シャアとアムロはともに時の流れを感じるのである。

逆襲のシャア

シャアは、一年戦争でザビ家を壊滅させる。これで父親の復讐を果たした。その後、クワトロ・バジーナと名を偽り、エゥーゴと協力して、ハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍とパプテマス・シロッコ率いるティターンズを討つ。ハマーン・カーンは、ザビ家の生き残りミネバ・ザビ(ドズル・ザビの娘)の摂政として権力を持っていた。

シャアは、こうした背景もありながら、地球に住む悪しき者たちに粛清しようと試みる。しかしながら、これらの背景を顧みると、本当の目的はアムロ・レイとの決着にあると感じる。

シャアは、ネオ・ジオン軍の総帥として、小惑星アクシズを地球に落とし、地球を寒冷化させようとしていた。それに対抗するのが、地球連邦軍のロンド・ベル隊のアムロ・レイである。ロンド・ベル隊は、ブライト・ノア艦長が率いている。

ブライトの息子であるハサウェイ・ノアは母親のミライ・ヤシマ(ミライ・ノア)、妹のチェーミン・ノアと宇宙に向かおうとしていたが、搭乗できずにいた。

しかし、運よく宇宙に向かおうとしていた地球連邦政府の参謀次官アデナウアー・パラヤと、その娘のクェス・パラヤとともにハサウェイは1人だけ搭乗することができた。

ハサウェイら3人は、ロンド・ベル隊に合流し、ブライトやアムロとも会っている。アデナウアーは、ジオン公国との和平交渉を進め、シャアに小惑星アクシズを渡した。

その話を聞いたブライトは、直ぐに和平交渉は表向きでしかなく、シャアはアクシズを地球に落とすだろうと考えた。そして、戦艦ラー・カイラムは核ミサイルを搭載し、アクシズを破壊しようとする。

ロンド・ベル隊は、核ミサイルを使って、アクシズに攻撃を仕掛けるが、ギュネイ・ガスのファンネルによって核ミサイルが破壊されてしまう。

次の作戦は、アクシズの中に爆弾を設置し、内側から破壊するというものだった。作戦は成功し、アクシズが半壊したが、アクシズの後部が地球の引力に吸い込まれ、降下しようとしていた。

その時、シャアとアムロの戦いにサイコ・フレームが反応し、数々のモビルスーツ隊がアクシズを押し返し、不思議な力によってアクシズは宇宙にかえっていった。

ここまでが一連のあらすじであるが、シャアとアムロの戦いの裏には、ハサウェイとクェスが巻き起こすストーリーも展開されている。

クェスは父親であるアデナウアーの女性癖の悪さを嫌っており、始めてアムロに出会ったときには憧れのような感情を抱いていた。しかし、アムロは技術士官であるチェーン・アギと恋仲にあった。それを見たクェスは、アムロとチェーンに対して嫌悪感を抱く。

アムロが、ハサウェイとクェスを連れてドライブをしていたとき、交渉に来ていたシャアと出会う。シャアはギュネイが操るモビルスーツで迎えられ逃げるが、その際にシャアに共感を示していたクェスがついていってしまう。

ハサウェイは、クェスに想いがあり、宇宙での戦いでクェスを取り戻そうと決意する。宇宙での戦いで、クェスはαアジールという大型モビルスーツに乗り、ハサウェイは無許可でジェガンに乗る。

しかし、クェスはシャアを想い、ハサウェイを子どもだからと相手にしなかった。クェスの暴走を止められないと感じたチェーンは、ミサイルを撃ちハサウェイを庇おうとしたクェスは死亡する。怒りをコントロールできなくなったハサウェイは、味方であるはずのチェーンを撃ち落としてしまう。

感想

クェスは、ハサウェイのことを子どもとして捉えている。しかしながら、クェス自身の衝動的で考えの伴わない行動も子どもらしさとして描かれている。

クェスは、戦いの中で父親が乗る宇宙船を落としてしまうが、このとき「気持ち悪い」というだけで、父親を自らの手で死亡させてしまったことには気づいていない。また、ヤクト・ドーガのファンネルを使ったことによる気持ち悪さと、判別しづらいように描かれている。

これらのクェスの行動は、家庭環境の嫌悪感を表すものであり、実際の非行少年の原因としても考えられるケースである。また、ハサウェイの喪失感と大人に対する理性の効かない行動もまた、子どもらしさを感じる。

ハサウェイのこのときの感情は深く描かれていないが、クェスの死とチェーンをあやめてしまった事実は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』で、ハサウェイが地球連邦政府の官僚に対して持つ恨みに繋がっていると言える。

シャアは、クェスを利用したというより、クェスが持つニュータイプとしての才能を利用した形である。シャアがニュータイプ研究所の長ナナイ・ミゲルに抱擁されるシーンでは、甘えが垣間見える。

シャア自身も父親と母親が亡くなり、それも暗殺と不審死という悲しい過去を持っている。クェスがシャアに惹かれた一番の理由はこれではないかと思う。シャアもまた子どもであったのかもしれない。

『機動戦士ガンダムUC』では、アクシズでの戦いでシャアとアムロの生死は不明のままとなったが、フル・フロンタルという名で、シャアと同じ声、額の傷がある人物が登場している。(額の傷は一年戦争の最後にアムロ・レイによってつけられた傷であり、「ヘルメットがなければ即死だった。」の名言でも知られるシーンである。)

個人的には、フル・フロンタルはシャアそのもので、語られずして生きていたのではないかと思っている。アクシズは半分に分かれて、宇宙にかえっていった。アクシズの内部は、コロニーのように人が住むこともできるため、もしかすると脱出用の宇宙船が残っていた可能性もある。

もし、フル・フロンタルがシャアそのものだったとしたら、シャアはアムロがいなくなった宇宙で何を目指したのであろうか。自分の終焉を描くべく、バナージ・リンクスと戦い、宇宙世紀のその先を見ようとしたのだろうか。

ガンダム。子どもの頃は、ロボットが格好いいという理由だけで見ていた。当時はプラモデルも沢山持っていた。しかし、大人になって、ファーストガンダム、Zガンダム、ZZガンダム、逆襲のシャア、ユニコーン、この一連のストーリーに深さを感じるようになった。そして、一年戦争のOVAも見ものである。

自分が生きている間に、ガンダムの歴史が全てわかるのだろうか。

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Posted by Cozy