エインズワースのストレンジ・シチュエーション法【公認心理師試験対策】

2021年7月8日

ストレンジ・シチュエーション法(Strange Situation Procedure;SSP)

エインズワース(Ainsworth,M.D.S.)は、乳児の愛着行動にタイプがあることを見つけ、そのタイプにより乳児の愛着発達への影響があることを示唆しています。このタイプを見わける方法を観察法として構造化したのが、ストレンジ・シチュエーション法です。

ストレンジ・シチュエーション法は、Bowlby,J.の愛着理論の影響を受けており、アタッチメント(愛着行動)の発達段階が考慮されています。

エインズワース(1978)では、母親との分離場面において1歳児が示す愛着行動を観察しています。安定した愛着を形成している子どもは、愛着の対象である母親に愛着行動を示し、不安定な愛着を形成している子どもは、母親に愛着行動を示さなかったり、怒りや抵抗、攻撃、回避などの行動を示したりもすると考えられました。

つまり、エインズワースは不安定な愛着形成をしている子どもは、母親との分離に強く抵抗するなど母親に対する執着が強い、もしくは母親との接触を望まないような行動をとると考えたのです。

実施方法(手順)

エインズワースは、『ストレンジ・シチュエーション法』と題し、乳児と母親の愛着スタイルを観察する実験手順を示しています。ストレンジとは「風変わり」や「奇妙」といった意味があります。因みに母親に対して見知らぬ女性を入室させるのですが、これをストレンジャーと呼びます。意味は「見知らぬ人」です。

実験は、マジックミラー(一方からのみ部屋の様子を見ることができる壁)がある部屋で行われました。乳児は生後12〜18ヵ月の子が選ばれています。サンプルとしては、中流階級のアメリカ人家族が選ばれています。

【1】母親と乳児を部屋(遊具や玩具があるプレイルーム)に入れて、乳児を遊ばせます。このとき、母親は椅子に座り、乳児を見守ります。乳児からの関わりは拒否しません。

【2】知らない女性(ストレンジャー)が入室し、母親の横に座ります。その後、①黙ったまま1分間、②母親と知らない女性が話して1分間、③知らない女性が乳児と遊び1分間、を過ごします。

【3】母親が退室します。知らない人は3分間ほど、黙ったまま、座ったまま、乳児と過ごします。乳児が泣いて母親を求めたら、知らない女性がなだめます。

【4】再び母親が入室して、知らない女性は退室します。

【5】母親が退室して、乳児が一人になります。

【6】知らない女性人が入室します。

【7】母親が入室して、知らない女性は退室します。

■乳児が母親と離れた場面、乳児が知らない女性と2人でいる場面、母親と再会した場面に注目して、乳児の反応を観察します。

愛着のタイプ(アタッチメント・タイプ)

ストレンジ・シチュエーション法では、母親との分離場面と再会場面における乳児の反応で愛着行動のパターンを分類しています。①安定型、②回避型、③葛藤型(抵抗/アンビバレント型)、④無秩序型、とされています。

①安定型

分離→泣く、抵抗するなど不安を示す。

再会→甘える、喜ぶなど接近を示す。

②回避型

分離→泣かない、抵抗しないなど不安を示さない。

再会→反応が薄く、よそよそしい、接近を示さない。

③葛藤型(抵抗/アンビバレント型)

分離→泣く、怒るなど抵抗を示す。

再会→喜びと怒りなど接近と回避の葛藤がみられる。

④無秩序型

分離時も再会時も反応に一貫性がなく、情緒が不安定になっている。

■解釈としては、安定型が感受性や情緒安定性が高いと言われる。無秩序型は、不適切な養育や虐待、発達障害の可能性が検討されます。

■ストレンジ・シチュエーション法によるタイプ分類は、最初は①安定型、②回避型、③葛藤型(抵抗/アンビバレント型)で、後に④無秩序型が追加されています。

ストレンジ・シチュエーション法の問題

ストレンジ・シチュエーション法は、Ainsworth & Witting(1969)によって開発されましたが、研究者によって様々な指摘がなされています。

安定型が適応的なのか

その1つが『安定型が適応的とする前提』に対する指摘です。母親を安全基地として利用することは一見、適応的であると考えられるが、文化や社会背景によっては、これが適応的とはいえないこともあるという指摘です。

当初、ストレンジ・シチュエーション法のタイプ分類をした研究では、安定型が70%を占めていましたが、ドイツ北部の研究では、回避型が約半数を占めたという報告があります。このことから、文化や社会背景によっては、必ずしも『安定型が適応的である』とはいえないことが分かりました。

アタッチメントは母親の行動によって形成されるものなのか

2つ目は『アタッチメントは母親の行動によって形成される』に対する指摘です。当時は、養育は母親が担うとする慣習がありました。そのため母親の影響は強いと考えられていましたが、発達心理学の領域が乳児の持つ能力や気質に注目し始めたこともあり、母親の養育態度だけでなく、乳児の能力や気質もアタッチメントに影響を与え、この相互作用によってアタッチメントの型が決定すると指摘されました。

アタッチメント・タイプとその後の発達との関連が測れない

3つ目は『その後の発達との関連性が測れない』との指摘です。これは、安定型を示した乳児が成長していった先に良好な発達を示すだろうという仮説があったものの、縦断的研究をするには、様々な要因が複雑に関係し合うために、この関連性のみを測定することは難しいとする指摘です。

エインズワースの生い立ちと理論背景

長くなるので、別の記事に書いています。ぜひ、ご一読ください。

公認心理師試験対策

公認心理師試験においては、過去に出題されています。ストレンジ・シチュエーション法における4つのタイプは、少なくとも憶えておく必要があります。

【例題】ストレンジ・シチュエーション法において、誤っているものを選びなさい。

  • ①安定型は、分離場面で抵抗、再会場面で接近を示す。
  • ②無秩序型は、不適切な養育や虐待が検討される。
  • ③葛藤型は、分離場面で怒り、再会場面で回避行動を示す。
  • ④回避型は、再会時の反応が薄い傾向がある。