アドボカシー(権利擁護)【公認心理師試験対策】

アドボカシー(権利擁護)

公認心理師試験において、アドボカシーは『権利擁護』という意味で捉えられています。

例えば、障害を抱えている方や寝たきりの高齢者など、社会的にみて立場が弱くなってしまっている人の主張や意見を代弁していくことです。

公認心理師は、学校や病院、児童福祉施設、介護施設など、様々な領域での活躍が期待されています。公認心理師は、特性上、立場の弱い人たちの声を拾いやすいため、こうした権利擁護の機会が多いことを自覚しておく必要があります。

アドボカシーには、①ケースアドボカシー、②クラスアドボカシー、③セルフアドボカシー、があります。

①ケースアドボカシー

ケースアドボカシーは、利用者やその家族を対象にした権利擁護を意味しています。

例えば、発達障害のある小学生が、学校で十分な支援を受けられず、学校に通いづらい現状があるとします。保護者は近くに味方がいない状況で、市区町村が運営する教育支援センターに相談をしました。

公認心理師としては、家庭の困り感や小学校の対応についてヒアリングをして、発達障害や療育的な知識が乏しい保護者に寄り添いながら、学校や教育委員会などとの連携を図る必要があります。

権利擁護という意味では、小学生と保護者の主張を教育委員会や学校に伝え、支援体制を整えるよう協力依頼をすることが基本となります。(命令や強制はできません。)

一方で、学校教育の人員配置や教育的支援として限界を超えていると、実際の支援が困難な場合もあります。(こうした学校の経営上のシステムなど、少し踏み込んだ知識も必要になることがあります。)

この場合は、家庭に対して他機関との連携を促したり、学校と他機関との架け橋になるような動きをとることも大切な役目となります。

②クラスアドボカシー

クラスアドボカシーは、集団やコミュニティを対象にした権利擁護を意味しています。

障害を抱えて生きている方々は、ピアサポートのコミュニティも持っていることが多いです。近年では、SNSやLINEで情報交換ができるコミュニティを形成していたりもします。

一方で、当事者としての声は、当事者以外の人にとっては、現実味がなく伝わりにくい現状があります。

そこで、公認心理師などの有識者が集団やコミュニティの代弁者として啓発活動を行うなど、地道な努力をすることで、社会一般に障害の理解を促すことができます。

③セルフアドボカシー

セルフアドボカシーは、当事者が同様の境遇にある人の権利擁護を行うことを意味しています。

当事者といっても、障害や病気の程度が異なることもあります。権利擁護がしやすい立場にある人が、権利主張ができない立場の人たちの代弁者となり、互いに助け合うことが大切です。

公認心理師試験対策

公認心理師試験では、専門用語の意味を理解しているかという意味で、エンパワメントやコンピテンシーなどの一般的には使用することのない用語が選択肢に使われることがあります。

アドボカシーに関しても、予想問題集では、この選択肢に含まれることがありました。深い知識まで理解する必要はないかもしれませんが、この記事の内容くらいは覚えておいて損はないです。

選択肢として『アドボカシー=権利擁護』ということを理解し、事例問題の対策として、①②③のアドボカシーも覚えておいてください。

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