しょうけら【ホラー/怪談】

しょうけら

僕は小さい頃から幽霊が見えています。大体は、ボヤッと黒い塊が見える程度でした。しかし、大学生のときには、はっきり見えるようになりました。

そのきっかけは、友達が突然の病気で亡くなってしまったからです。友達は親友と呼べるほど、仲が良くて、他の人には話せないことも彼には話すことができました。

そんな彼が、亡くなる前日、僕に電話をかけてきました。「病院の窓から見える住宅の屋根の上に、踊っている化け物がいる」と言うのです。

当然、彼は僕に霊感があることを知っていて、それでいて気持ち悪がらずに友達として接してくれていました。

しかし、彼のほうから、こうした怪談話を聞いたのは初めてで、その時の声色からも深刻さを感じました。

その日は、「明日、見舞いに行くから!」と声をかけました。一方で、僕は霊感はあるものの、除霊ができるわけではありません。

翌日、予定していた時間に病院に向かうと、看護師さんたちがバタバタと慌てていました。

ベッドごと運ばれていったのか、部屋には友達が寝ているはずのベッドがありませんでした。

友達はどうしたのかと看護師に聞くと、容態が急変して緊急処置に入ると言われました。

それから数時間、友達は亡くなってしまいました。友達の家族が到着して、一緒に待っていましたが、祈りは伝わらず、涙することになってしまいました。

医師が説明をしにきて、家族に死因を説明したのち、僕が呼ばれて、「彼から君へのメッセージだと思うのだが、『踊っていた奴が上にきた』とかなんとか、何のことかわかるかい?」と伝えられました。

僕は「わかりません」と答えながらも、帰り道は家の屋根をみながら歩きました。

いました。奴はこっちを見ながら、不気味に笑いながら踊っていました。

『しょうけら』とは

『百怪図巻』には「しょうけら」との記載があり、人の悪事を屋根から監視する妖怪であるとされている。

『描図百鬼夜行』には「せうけら」との記載がある。当時の民間宗教の考えで、人には三尸虫が住んでいて、三尸虫は庚申の夜(三尸が天に昇るのを防ぐため眠らずに夜を過ごす行事)に天へ昇って天帝にその人の罪を報告し、天帝はそれによりその人の命を奪うとされている。

『しょうけら』は、どちらも屋根から人の生活を覗き見るという特徴が描かれているが、詳細は記載はないようである。

人の悪事を裁いていたのか、亡くなる間近の人を迎えにきていたのか、定かではない。