『はたもんば』【ホラー/怪談】

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はたもんば

僕が小学生の頃、友達Aと空き地でよく遊んでいました。いつもはキャッチボールをしたり、ドッジボールをしたりしていましたが、空き地での遊びに飽きたこともあり、近くの雑木林にエアガンを持って遊びに行きました。

偶然、大きな蜂の巣を見つけて、遠くからエアガンで撃つ遊びを始めました。遊び疲れて、いつのまにか夕日が見える時刻になりました。

雑木林の中を抜けて帰ろうとすると、途中に小屋のような建物を見つけました。建物を一周してみると、神社のような門構がありました。倒れていた石には難しい字が書いてありました。

大きな扉は朽ち果てていて、開きません。塀の一部が壊れていて、石を積んだら登れそうでした。

僕と友達Aは、興味本位で壁をよじ登り建物の中に入りました。塀の中には小さな建物があり、木の檻のようになっていました。

檻の中には入れそうもありませんでしたが、檻の中央には、その場に似つかわしくない綺麗な状態の『刀』が展示されているかのように置いてありました。

暗くなってきたので、もう帰ろうと塀を登ろうとしたとき、友達Aが人の気配を感じたようで、『しー』と合図を送ってきました。

確かに誰かが塀の外を歩いているように感じました。見つかったら怒られると思い、息を殺してやり過ごしました。気配が消えたので、その日は家に帰りました。

その後、僕は物知りのお爺ちゃんに『雑木林の中にある建物って何?』と聞いてみました。すると、いつもは優しいお爺ちゃんが『あれには近づいたらいかん』と険しい顔で言うのです。

『ごめんなさい』と言うと『あそこには昔の悪い幽霊が沢山いる。連れて行かれてしまうぞ。ハハハ』と笑ってくれました。

しかし、友達Aも同様におじいさんおばあさんに聞いたらしく、僕と友達Aの聞いた話はほとんど一致していました。友達Aは『あそこは悪いことをした人が罰を受けた場所だ』と言われたそうです。

その後、友達Aはご両親の仕事の都合で引っ越していきました。遊び友達が居なくなって、当時は携帯も持っていませんでしたから、友達Aとはそれきりです。

それから十年ほど経ちます。自分は地元に住むことになって、両親に告げられたことがあります。あの神社は、朽ち果ててはいるが、自治体で管理していくことになっている。子どもを近づけさせないようにしなさい。など説明を受けたあと、当時の話をされました。

死んだ爺ちゃんは、僕の話を聞いたあと、自治体の人たちとともに塀を修繕したそうです。あそこは『磔者場(はたもんば)』と呼ばれ、磔(はりつけ)の後、斬首による処刑が行われていた場所らしいです。

我が家は、代々神社を守ってきたが、それも終わりにしようと、手入れをしなくなっていたそうです。その時に僕が神社に立ち入ったので、地域の人たちは怖がって、修繕をすることになったそうです。

それからは、僕も年に数回は神社を見回り、手入れをしています。ただ、あのとき感じた人の気配が何だったのか、今でも気になって仕方がありません。

『はたもんば』は全国各地にあるとされています。権力のある武将や大名が罪人や反抗する人を処刑していたためです。神社として祀られている場所は、大勢の人が亡くなっている場所です。

また、『はたもんば』が過去にあったが、取り壊されて、道路や土地になっている場所もあります。もしかすると、あなたの住んでいる場所の近くにもあるかもしれません。

この話はフィクションです。