橋の下【ホラー/怪談】
僕が小学生の時に体験した話です。
僕は、田舎の小学校に通っていました。登下校は1時間歩きます。登校時は近くに住む子と集まって通学団で登校しますが、帰りはバラバラに帰っていました。
僕は、いつも同級生のAと帰っていましたが、お互いにやんちゃ坊主で、決められた通学路から外れた道を使って帰っていました。
その外れ道の途中、大きな病院の裏にトンネルがあります。歩いて1分ほどの短いトンネルで、トンネルの上は車通りが多い道路になっています。
そのトンネルを抜けると川にかかった橋があります。この川は浅く流れが緩やかで降りられる場所もあります。僕たちの遊び場です。ランドセルを橋の下に置いて、小魚やカニなどを捕まえて遊んでいました。
ただ、たまに犬の散歩だったりで横の道に人が通ることがありました。僕たちは見つかると怒られるので、橋の下でなるべく隠れて遊んでいました。
人の足音が聞こえたら、隙間からバレないように息を殺し、外を覗き見て、行き去るのを待ちます。そして、遊びに戻るのを繰り返すかんじです。
ある日、理科の実験で虫眼鏡で日光を集めて黒い紙に火が付くことを知りました。好奇心が真っ盛りの2人は、魚を捕まえて乾いた草に火をつけ焼いたりして遊びました。大人になって思い出すと危険な遊びをしていたと反省します。
橋の下は、僕たちの秘密基地になっていました。木の棒と糸で釣竿を作って置いてあったりダンボールを拾ってきて座る場所を作ったりしてありました。
ある日、いつものように橋の下に行くと、ダンボールが広げられていて、雑誌が沢山置いてありました。僕たちは「ホームレスだ」と思いました。秘密基地が取られるのは悔しいけど、流石に危ないので、この日から暫く橋には近づかないようにしました。
3ヶ月ほど経って、橋を見に行くことにしました。人の気配はせず、橋の下まで行ってみましたが、物が増えている様子はありませんでした。
ただ凄い異臭がしており、魚が腐っているのだと思いました。Aが突然に「うわッ!」と驚いたので、自分も驚き、Aが見ていた方に目を向けると、そこには人の死体がありました。
見るも無惨に腐敗が進んでいて、おそらく顔とみられる部分からは虫がわいていました。僕たちはホームレスの人が自殺したんだと話していました。急いで近くのAの家に向かい、Aのお母さんに説明しました。
Aのお母さんは、すぐに警察に連絡しました。その後、警察から連絡があり、僕とA、互いの母親の4人で橋に向かいました。
警察の人は「この橋の下で遺体を発見したということで、間違いありませんか?実は発見できていないのです」と言うので、2人で詳しい位置や見つけたときの腐敗の様子などを詳しく説明しました。
警察の人は悩んだあげく、僕たちを現場まで連れていきました。僕たちが遺体を見つけた場所を見ると、あったはずの遺体が無くなっていました。
やんちゃ坊主だった僕たちですが、これほどの嘘をつくような子ではないと親が擁護してくれました。しかし、遺体がない事実に変わりはなく、この話は嘘として噂されるようになってしまいました。
ただ、僕たちははっきり見ました。そして、大人になった今、ときどき見えるんです。あの橋の近くを車で通るとき橋の下に入っていく人影を。