タイムカプセル【ホラー/怪談】

僕は田舎の小学校に通っていました。6年生のときクラス全員でタイムカプセルを埋めました。

僕はプレミアがつくだろうと当時流行っていたカードゲームのレアカードをビニールで何重にもして入れました。友達もフザケて写真や未来予知を紙に書いて入れたりしていました。

それから6年後、成人式の日、小学生時代の友達とタイムカプセルの話になり掘り起こすことになりました。参加者はクラスの3分の1程度で、他の人たちは高校や中学の友達と合っていたようです。

僕たちは話し合って、他の人のぶんは埋めて戻しておこうという結論に至りました。実際に掘ってみると凄く懐かしい気持ちになりました。くだらないもの入れちゃったなと盛り上がり思い出話を楽しみました。

ただ、その場で気になったことがありました。それはAという女子のことです。Aは皆と同じ中学校に進学しましたが、中学2年生のときに踏切事故で亡くなってしまったのです。

正直、僕の目的はAの思い出でした。Aは物静かで地味な子でしたが、たまに話す機会があると可愛い笑顔を見せる子でした。僕は小学生の時からAに片想いをしていて、タイムカプセルを入れるときにAが手紙を入れていたのを見ていました。

中学生になり部活動も勉強も頑張って、いつか告白できればと思っていたのにAは亡くなってしまった。僕は自分の部屋で泣き崩れました。高校生、大学生になってもAを忘れたことはなく、ずっと想っていました。ただ、このタイムカプセルを機に想いを断とうと思っていました。

Aのことは全員が知っている事実です。故人のものは見ないほうがいいという意見もあるなか、遺品として家族に渡せるものがあるかもしれないとの意見もあり、多数決で開封することになりました。

僕が代表して封を切りました。中には手紙が入っていました。「Bちゃんへ…」と書かれた手紙を見て、唖然としました。「貴方を許しません。呪い殺す。」と書いてあったのです。

一体、何のことか理解できませんでしたが、友人が口を開きました。「AはBに虐められていたのかもしれない。確かじゃないけど、BがAの荷物を持っていたことがあった。当時はたまたま同じ物を持っていただけと思ったけど、次の日にAが何か探していたのを覚えている。」

手紙はいくつもありました。「他の人も助けてくれなかった。」と僕や友人の名前も書いてあった。

僕はAと目が合うたび、恥ずかしくて目を背けていた。一方でそれはAからすればSOSの合図を無視していたように見えていたのかもしれない。

友人たちは殆どが自身の名前が書いてあった。痺れを切らした友人は、ライターを取り出しこの手紙を燃やしました。勿論、僕は誤解を解くためその場にいた友人たちに自分の想いを打ち明けました。

友人たちも気がついていたら助けてあげられたのにと後悔している様子だった。しかし、この手紙を家族に渡して自殺の関係者になることは僕も含め誰もが避けたかった。

翌日、Bは踏切事故で亡くなった。成人式のあと調子に乗って酔い潰れ、朝方、千鳥足の状態で友人宅を出たところ電車に轢かれたそうです。

そして、手紙を燃やした友人も「誰かに見られている」とメールを残したあと、踏切事故で亡くなった。