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場面緘黙症に対するカウンセリング┃三重県松阪市のカウンセリングルーム

2021年8月26日

認知行動療法を軸とした『場面緘黙症に対するカウンセリング』についてお話します。

場面緘黙症とは

場面緘黙症とは、話すことや注目されることに対して不安や恐怖があり、特定の場面緘黙において声が出さなくなる緘黙と、身体がガチッと硬直してしまう緘動が生じます。

多くの方は、家では話せるけど学校では話せないという経験をしていて、緘黙だけの場合もあれば、緘黙と緘動を持ち合わせている場合もあります。また、全緘黙と言ったりもしますが、全ての場所で話せない場合もあります。

■詳しい診断基準とその解釈については、こちら(↓)の記事を読んでみてください。わかりやすく説明しています。

【場面緘黙症のセルフチェック】

場面緘黙症に対するカウンセリング

場面緘黙症に対するカウンセリングは、アメリカの研究で有効性が示されている認知行動療法やSST(Social Skill Training)という方法が用いられます。簡単に言えば、カウンセラーの支援を受けながら話す練習をするというイメージです。

ただし、認知行動療法は、多少の理解力が必要なため、幼児期や児童期の子どもに対しては、遊戯療法や箱庭療法が用いられ、家庭や学校との支援体制を構築することが主となります。

そして、脳の不安感情を司る扁桃体という部分の働きが過敏であるという説が有力で、精神医学では精神安定系の投薬療法が行われることがあります。

ただし、投薬療法だけでは、直接的に不安や恐怖を緩和させられる振る舞いが身につくわけではないので、投薬療法を行うにしても、継続的なカウンセリングを受けることが大切だと言われています。

カウンセリングの手順

カウンセリングの手順については、各カウンセリングルームで異なると思います。少しでもイメージしやすいように、当カウンセリングルームでの手順をご説明いたします。

①インテーク面接(初回面接)

インテーク面接とは、初回の面接のことです。インテーク面接では、相談者の特性や主訴(悩み事)、家庭や学校での状況など、支援に必要な情報を聴かせていただきます。

また、初めての場所で相談をする場合、不安や緊張により、話すこと抵抗が出てしまうので、場所やカウンセラーに慣れていただく意味も含んでいます。

②場面緘黙症への配慮

カウンセリングといっても、やはり場面緘黙症の症状が表れて声が出ない場合があります。そこで、あらかじめ手紙のように相談したいことを書いてきていただければ、読ませていただきます。

また、意思決定で頷きや首振りができる場合、YESとNOで回答可能な質問をさせていただきます。勿論、筆談も可能です。必要があれば保護者や友達などの同伴も可能です。

③2回目以降の面接

実際にカウンセリングに入っていきます。場面緘黙症のカウンセリングということで、段階的暴露療法とSSTという方法を軸にカウンセリングを実施していきます。この2つの方法を組み合わせて行っていくことで、確実に不安を軽減させていきます。

■段階的暴露療法というのは、あえて話せないような不安場面に晒して慣れていくという方法です。勿論、最初は不安があると思いますので、どこからスタートできそうか、ということも相談して決めていきます。つまり、カウンセラーとともに、練習を積み重ねていくというイメージです。

■SSTというのは、挨拶をするコツ、お礼を言うコツ、発表をするコツ、などの場面を想定し、場面に応じた社会性スキルを練習する方法です。様々なコツを身につけることで、その場面に遭遇したときの不安を軽減させることができます。

④主治医との連携

強制ではありませんが、もし、病院やクリニックに通院している場合は、その旨をお伝えください。場面緘黙症は、場面緘黙症を原因として、うつ病、統合失調症、自律神経失調症などを併発することがあります。

■カウンセラーは、主治医がある場合、主治医の治療方針に基づいてカウンセリングを行っていく義務が発生します。診断書がある場合は、それを見せていただき、どのように言われているかをお聴きさせていただきます。必要がある場合は、こちらから主治医に連絡させていただき、支援方針を確認させていただきます。

⑤リファーの可能性

リファーとは、カウンセラーの専門性の違いや限界を考慮して、相談者をより良い支援に繋げることです。例えば、場面緘黙症を原因として、自傷があったり自殺念慮が強い場合は、大きな病院の精神科を受診していただくことをおすすめさせていただいています。

「たらい回し」と揶揄されてしまうこともありますが、決してそんなことはいたしません。相談者のための判断です。ぜひご理解いただければ幸いです。

■もし、大きな病院で受診されて、カウンセラーとの相性や投薬の条件などを考慮した上で、再びカウンセリングにお越しいただける場合は、主治医の指示のもと、カウンセリングを継続させていただきます。

カウンセリングの有効性

1950年頃、日本で場面緘黙症という言葉が用いられるようになりました。当時、精神分析という心理療法が発展していたことにより、精神分析から影響を受けた遊戯療法や箱庭療法が主に行われていました。

次第に行動療法が流行しだし、今ではそれぞれの強みを考慮した上で、カウンセリングが選択されるようになりました。

アメリカでは、日本よりもエビデンス(証拠や根拠)が重要視されるようになり、心理学の研究では信頼性と妥当性を考慮するようになりました。そして、心理統計学が発展し、今では根拠のないような「怪しい研究」は信用されなくなっています。

この流れを受けて、カウンセリングにおいても有効性が重要視されています。精神分析は、相談者の無意識の部分にアプローチするなど、信頼性と妥当性が確保されにくい特徴があります。(実証研究は多く、エビデンスの強化が進んでいます。)

一方、行動療法は、精神分析に比べるとエビデンスが得られやすく、客観的にもわかりやすいという特徴があり、その意味でも有効性が示されやすくなっています。

相談者としては、やはり理解力の部分が選択の分かれどころになっていて、幼児期や児童期の子どもに対して行われる行動療法は、理解できないと動機づけも難しかったりします。一方、遊戯療法や箱庭療法は、遊びの中で、心的状態のアセスメントができるため、保護者としても選択する方が多いです。

勿論、どちらか一方に決める必要はなく、カウンセラーによっては、折衷派と呼ばれる精神分析と行動療法どちらも得意とする方もいらっしゃるので、組み合わせが可能かどうかも聞いてみてください。

最後に

場面緘黙症は、これまで認知度が低かったことから、専門家と呼ばれる方が少なく、各都道府県に数名いるかいないかくらいだと思っています。また、心理学研究においても、まだまだ研究が発展しておらず、今後の展望に期待されている領域です。

今の大学生や大学院生では、幼いときに場面緘黙症だったという方がいて、臨床心理士や公認心理師になろうと頑張っておられます。Twitterでも数名、知っている方がいます。ぜひ、頑張っていただきたいと期待しているところです。

僕自身は、元教員で場面緘黙症の子どもに出会ったことがあります。大学院時代に臨床心理学を専攻していたことから、書籍や論文で勉強したり、TwitterやLINEコミュニティで当事者や保護者の方の声を参考にさせていただいています。

今後、カウンセリングを行わせていただく中で、事例がまとまりましたら、論文を書くことも検討したいと思っています。まだ、専門家と言えるレベルには至っていませんが、今後も学び続けたいと思いますので、ぜひご協力いただければ幸いです。