場面緘黙症(選択性緘黙)の方のSNS利用について

2021年2月9日

今回は、場面緘黙症の形にオススメするSNSの利用について、お話したいと思います。また、僕はTwitterを主に運用していますが、そこで出会った場面緘黙症の方の特徴などにも触れてお話できればと思います。

SNSの特徴を知りましょう。

まずは、SNSの特徴を捉えて、ご自身に適したSNSを選んで運用することが大切です。また、それぞれのSNSのメリットやデメリットについても、お話します。今回は、Instagram、Facebook、Twitterについてお話します。

Instagram

Instagramは、写真や動画をアップデートすることがメインです。今、若い世代で最も運用されているSNSです。写真や動画にコメントやタグをつけることで、検索されやすくなり、社会的に注目されることが好きな方にとっては、今一番、チャンスを得られやすいSNSです。

◆メリット

Instagramは、写真や動画がメインなので、見る側に楽しい雰囲気や明るい雰囲気が伝わりやすいです。場面緘黙症とはいえ、普段の日常を発信することで、他者からのイメージがガラッと変わる可能性があります。話せないけど、普段はこうなんです。というアピールができます。Instagramは若い世代に圧倒的に人気があります。若い世代の方は、場面緘黙症を知らない方が多いので、場面緘黙症のことを発信することで、少しずつ場面緘黙症が社会に浸透していくことが期待できます。

◆デメリット

Instagramは、写真や動画がメインですので、場面緘黙症の特徴として、人に見られることに不安があるという方が多いので、そういう意味では、あまり適さないSNSとも言えます。また、写真や動画がメインなので、身元がバレたりするリスクも高めです。

Facebook

Facebookは、文字、写真、動画と投稿の方法は様々です。実名で運用される方が多いですが、その特徴ゆえ、日本では運用する人が少ないです。特に若い世代では、ほとんど使われません。僕は、1992年生まれですが、大学生ときに少し流行って、今は友達もほとんど使っていません。

◆メリット

より現実に近いところで運用できます。友達をフォローすると、「知り合いかも」のところに、友達が出てきやすくなり、どんどん繋がることができます。実名での運用が多いので、アンチコメントはほとんどないと思います。

◆デメリット

とにかく利用者が少ないです。ビジネス利用も最近は人気がなくなっています。アメリカでは、若い世代でも人気があって、マッチングアプリのように利用している人もいるようです。実名利用が多いので、身バレしたくない方には、適さないと思います。たとえ、ニックネームで運用しても、他の方が実名利用ばかりなので、怪しまれてしまうことが考えられます。

Twitter

Twitterは、Instagramの人気が出たことにより、運用する方が減っています。とはいえ、どの世代でも使いやすいSNSです。投稿は文字、写真、動画が使えます。文字だけでも気軽に投稿できるので、好きなタイミングで投稿できます。「病み垢」など、完全匿名でアカウントを作って、悩みを発信してみたり、同じ境遇の方と繋がったりすることも容易です。

◆メリット

自由度が高いです。匿名で発信できるので、身バレのリスクは低いです。また、「場面緘黙症」と検索すると、プロフィールや投稿で場面緘黙症というワードを使っている方がピックアップされます。場面緘黙症のコミュニティを作り、悩みを話し合うなどの運用がしやすいです。

◆デメリット

匿名で運用されることが多いので、アンチコメントがつくこともあります。無視したりブロックしたりすればいいのですが、心の負担になることもあります。匿名で相手が分からないので、中学生や高校生が悪い人に会いに行ってしまい、被害にあうことが増えています。

Twitterで出会った場面緘黙症の方たち

僕の個人的なアカウントですが、フォロワーは500人くらいです。その中で、場面緘黙症の方が50人くらいいると思います。僕が元教員ということもあり、場面緘黙症の方でいえば、学生のフォロワーが多くなっています。中学生や高校生で、場面緘黙症の症状に悩むような投稿をされています。

大人の方でも、場面緘黙症は改善してきたけど、後遺症のような形で、仕事場で声が出なかったなどの悩みを投稿されている方もいます。以前、高校生の方からDMで相談を受けて、そのやりとりの中で、症状改善できたり、学校での支援が得られやすくなったケースもあります。

僕は、FacebookやInstagramも運用していますが、最も場面緘黙症の方と出会えるのは、Twitterです。やはり、身バレのリスクが低く、匿名で投稿できることが利点のようです。

僕がまだ大学院生のときに、カウンセリングの練習がしたくて、Twitterで無料相談を実施していました。勿論、プロではない旨をお話しています。歳が近くて話しやすいということもあって、初めはDMでやりとりをして、LINEで繋がり、半年ほどで学校で話せるようになった方もいます。

今は、僕も仕事としてカウンセリングを行っているので、SNSのDMやLINEで個人的なやりとりをすることはないのですが、SNSで僕の投稿を見て、コメントをしてくださる方もいます。

僕自身、場面緘黙症の支援者は、全国的にも少ないと思っていて、SNSで場面緘黙症の方同士で励まし合ったりしているのを見て、コミュニティを作ることは大切だと思っています。場面緘黙症については、情報が少ないです。カウンセリングによる改善方法は、あるものの、その改善例や事例が少なく、僕も勉強したいのに、参考になる情報が少なくて、困っています。

例えば、心理学の研究論文でも、その数は少ないですし、書籍も少ないです。この意味では、実際に当事者の話を聞くことが最も勉強になると思っています。

Twitterで仲良くしてもらっている場面緘黙症の方、その多くは不安障害やうつ状態といった他の問題も併有しています。場面緘黙症が原因なのかは、明確には分かりませんが、関連はあるのではないかと思っています。

SNSで初めて知って驚いたことがあります。場面緘黙症の方は、友達とカラオケに行って歌ったり、中には一人カラオケができる方もいます。見知らぬ他者や学校などで注目される場面で、話せないということだったので、カラオケは難しいだろうと思いながらも、「友達とカラオケに行ってきた」と投稿していた方に、質問してみたんです。

これは、驚きでした。てっきり自己表現すること自体、苦手なのかと思っていました。場面緘黙症という名のとおり、自分が不安を感じない場面では、歌ったり踊ったりする自己表現ができるようなんです。

勿論、そういった自己表現もできないという方が多いとは思いますが、反対に「家では騒がしい」「友達とは遊びに行って歌える」という例も目にするようになって、僕自身、支援の幅が広がったというか、見方が変わっています。

このようにSNSで当事者や保護者の方のお話を聞くことで、まだまだ支援の幅が広がる可能性があると思っています。もし、場面緘黙症の方で、SNSをやっていない方は、ぜひ、Twitterなど、自分に合ったSNSやってみてください。

Instagramなどで、匿名で自分の声だけをアップロードしたりするのも、自己表現の練習になるかもしれませんよ。歌が好きな方は、YouTubeで、歌声をアップロードしてみても、いいかもしれませんね。

最後に

僕の個人アカウントです。

@pompombomm

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