MMPl(ミネソタ多面人格目録)を分かりやすく解説します。【公認心理師試験対策】
今回は、心理検査の一つであるMMPIについて解説します。精神疾患の診断にも用いられる心理検査ということで、臨床心理士試験には、何度も出題されています。公認心理師試験においても、徐々に心理検査の深い知識が求められるようになると予想できます。
MMPIとは
MMPIとは、日本名はミネソタ多面人格目録と言います。ほとんどの場合、MMPIと呼ばれています。MMPIは、ハザウェイ(Hathaway,S.R.)とマッキンレー(Mckinley,J.C.)が開発しました。
MMPIの構成
MMPIの構成としては、4個の妥当性尺度と10個の臨床尺度の14尺度で、全550項目の質問紙尺度となっています。
■妥当性尺度とは、心理検査が本当に被験者の測定したいものを測定できているかを見極めるためのものです。
妥当性尺度
?(疑惑)
3件法中の「どちらでもない」に回答が多い場合、回答に対する防衛があるか優柔不断な性格のため、妥当性が低いということになります。
L(虚偽)
人には社会的に望ましい方向に回答しやすいというバイアスがあります。このバイアスが強く表れている場合、妥当性が低いということになります。
F(頻度)
心理的に混乱している場合、適当に回答している場合、自分を悪く見せようと回答している場合などで、この回答が多くなり、妥当性が低いということになります。
K(修正)
自分に問題がないと自己を見つめたくない防衛が働いている場合に、この回答が多くなり、妥当性が低いということになります。
臨床尺度
1: Hs(心気症)
苦痛と不満により他者を操作
2: D(抑うつ)
悩みやすい、思い込みやすい、悲観的思考
3:Hy(ヒステリー)
自己中心的、精神的に未熟
4:Pd(精神病質的逸脱)
無責任、利己的、反社会的人格
5:Mf(男性性と女性性)
男性は従属的、女性は活発的
6:Pa(妄想症)
疑い深い、被害妄想、妄想性人格
7:Pt(精神衰弱)
不安や緊張が強い、社会不安、全般性不安
8:Sc(統合失調症)
疎外感、集中困難、非現実的妄想
9:Ma(軽躁)
落ち着きがない、衝動性が強い
0:Si(社会的内向性)
対人不安、社交不安、ひきこもり傾向
MMPIの解釈
公認心理師試験に出題されそうな内容に注目したいと思います。まず、MMPIでは回答からT得点を求めます。T得点は、平均が50点で、これをプロフィール(折れ線グラフ)に記載します。
解釈のポイントは、それぞれの得点、プロフィールにおける凹凸などの特徴、550項目という長い検査に対する被験者の態度や言動などを総合的に解釈します。
また、MMPIだけで診断するわけではなく、MMPIでおおよその見当をつけて、さらに関連した心理検査でテストバッテリーを組むことが大切です。そして、最終的な診断は、アメリカ精神医学会が規定したDSMを基準にする場合が多く、複数の心理検査や診察を経て診断を行います。
ただし、公認心理師は、診断をすることはありません。診断は医師の仕事なので、多くは医師の指示のもと心理検査を行い、情報共有と検討を重ねるというチーム医療の精神で立ち回ることになります。
確認問題
- ①MMPIを作成したのは誰?
- ②MMPIの構成は?
- ③妥当性尺度をそれぞれ説明してください。
- ④臨床尺度のMfは男女で観点が異なるか?
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