居場所がない!就職が難しい!【大人の場面緘黙症】
場面緘黙症について、ことあるごとに記事にしてきましたが、当事者の方が持つ意外な困りごとがあったので、この度も記事にさせていただきます。
学校卒業後の居場所がない!
場面緘黙症について、当事者や保護者、支援者がSNSなどを通じて、啓発活動を行っています。その結果、知名度は少しずつ高まっているように感じます。
しかしながら、日本における研究論文は少なく、幼稚園や学校の教員、放課後等デイサービスの支援員など、関わり方や支援方法が分からないという声も聞きます。
とはいえ、支援の場は提供されているわけで、高校卒業程度の年齢までは、何とか居場所の確保ができます。例えば、特別支援学級や通信制高校に在席し、高校まで卒業することができます。
一方で、高校を卒業したあとはどうかというと、これまでの居場所には年齢制限によって居られなくなることが多いようです。通信制高校に通い、高校を卒業したが、その後の進路で挫折をしてしまったり、上手く就職できないことが問題になっています。
就職は難しいのか
場面緘黙症といっても、他の発達障害などを併有している場合は、障害者手帳を申請して、障害者枠の採用を狙うこともできます。民間企業では、障害者を全体の職員数に対して2.3%ほど雇用しなければ、国からペナルティが出ることになっています。
この障害者雇用の制度を利用すると、就職のハードルは多少なりとも下げることができます。一方で、場面緘黙症の方は、社交不安障害などを併有していることも多く、採用試験や面接、接客といった点で困難を感じやすいです。
通常、感じる不安は、緊張しないように準備をしたり、何とかなるものであるのですが、不安障害における不安は、想像以上の恐怖に似た不安を意味しており、改善は容易ではないと言えます。
障害者年金が降りるようであれば、個人的には無理せず生きるための手段として、有効だと思っています。社会的ハンデを持つ人が、適応的に生きるために作られた制度ですので、使うべきです。もし、社会的な評価を恐れて迷っている方がいたら、そんなのは気にせずに利用してほしいと思っています。
何はともあれ楽しく生きて
基本的人権として、人は生まれながらにして幸福を追求する権利を持っています。障害があるから、他者と違うから、という理由で悲観的にならないでほしいです。
誰しもが楽しく生きていければ最高じゃないですか。日本の社会をみると、苦労している人がいて、苦労している人からすれば、上手くいっている人を妬ましく思うことも理解できます。
しかしながら、それぞれが足を引っ張り合っていたら、社会は良くなっていきません。今の社会は多様性が認められつつあります。日本は伝統や文化主義の意識が強いため、非常にゆっくり他文化を取り入れている状況です。
場面緘黙症だから辛い。でも可能な限り楽しく生きようと思ってほしいです。