不登校の要因としての過敏性腸症候群【不登校支援】

一般的に考えられる不登校の要因は、不安やいじめ、非行、学業不振などがあげられていますが、より詳細に捉えると、しばしば過敏性腸症候群のような病気や障害があげられることがあります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、大腸に腫瘍や炎症などの病理的理由がないにもかかわらず、腹痛や便秘・下痢などの不調がしばしば現れ、その状態が少なくとも数ヵ月にわたって持続する機能性消化管疾患です。

児童期・青年期の過敏性腸症候群

児童期・青年期では、発達障害との関連(島田,2009)、受験や通学に対するストレスが関連していること(竹中,2010)が報告されています。

藤井ら(2021)によれば、研究対象の18歳以下の59名の約半数が不登校状態にあったとされています。症状が重い場合、外出すること自体が困難になり、特に長時間にわた学校での活動を強いられるのは無理があると考えられます。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群は、ストレス以外にも、食生活の問題や偏食、腸内細菌も影響しているとも言われています。例えば、スナック菓子やジュースの偏った摂取、野菜を食べない、一気食い、食回数の不安定などがある場合、その改善を図る必要もあります。また、適度な運動やストレスの軽減を図ること、漢方や乳酸菌を使用することもあります。

過敏性腸症候群の心理療法

過敏性腸症候群が出現した児童の心理治療に関しては、行動療法としてのアプローチが有効とされています。例えば、金沢ら(1993)は、過敏性腸症候群のガス症状優位型(腹部にガスが溜まり腹痛を呈すタイプ)に対して行動療法によるアプローチを実践しています。人前でオナラをしてしまう不安に対する対処法の学習や回避行動の消去は、心理的要因による過敏性腸症候群を改善する手立てとなります。また小崎・長谷川(2000)は、短期家族療法を用いた実践報告を行っています。

過敏性腸症候群と不登校

過敏性腸症候群による不登校は、腹痛などにより長時間の外出が困難になることが原因です。また、逆に学校でのストレスが過敏性腸症候群や不登校の原因になっていることも考慮する必要があります。

このように過敏性腸症候群による不登校は、医学的支援と心理的支援を考慮するべきで、学校におけるストレスがある場合には、改善が見込める前での間、学校に合理的配慮の依頼をすると良いでしょう。

過敏性腸症候群は、長期化することあるため、家に居ながら学習できるフリースクールや通信制高校への編入・進学を考えるのも手段の一つです。

改善例には、通信制高校に編入して、高等学校程度卒業認定試験を受験・合格し、症状の緩和後に大学に進学したケースもあります。目標を諦めず、自信や心の支えにして治療にあたってください。

引用参考文献

  • 島田 章(2009)小児思春期過敏性腸症候群臨床,心身医 ,49,207-214.
  • 竹中義人(2010)小児・思春期の過敏性腸症候群ー小児の発達の観点から ,日本心療内科学会誌,14,118-122.
  • 小崎武・長谷川啓三(2000)小児心身症に対する短期療法10年間のまとめ ,心身医学,40,2,143-149.
  • 金沢文高・小宮山博朗・前田元成・松田弘・美根和典・中川哲也(1993)不登校を呈した過敏性腸症候群ガス症状優位型に対する行動療法 ,心身医学,33,63.
  • 藤井智香子・岡田あゆみ・重安良恵・塚原宏一(2021)小児科で経験する過敏性腸症候群特徴 ,心身医学,61,1,57-63.