アルツハイマー型認知症【公認心理師試験対策】
公認心理師試験において認知症は、知識と支援方法について出題され、配点の高い事例問題でも出題されるため、必ず勉強しておきたい部分です。
そこで今回は、代表的な認知症の1つであるアルツハイマー型認知症について分かりやすく解説したいと思います。
認知症とは
認知症は、生きていく上で得た知的能力が損なわれる病症のことをいいます。日本においては、認知症患者は約450万人、軽度認知障害の人は約400万人いるとされています。主に高齢者に多いのですが、脳損傷や脳疾患による認知症もあるため、若年性認知症も含まれています。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、βアミロイドといわれる蛋白が沈着することで脳の神経細胞が破壊され、脳萎縮が起こります。そして、老人斑といわれるシミのようなものが出現します。アルツハイマー型認知症は、徐々に進行していくのが特徴です。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、約半分を占めており、女性に多いとされています。
アルツハイマー型認知症の症状
アルツハイマー型認知症にみられる症状は、以下のとおりです。
- 記憶障害
- 判断能力の低下
- 見当識障害
- もの盗られ妄想
- 徘徊
- 介護拒否
■見当識障害というのは、自分の名前や年齢、今の日時、今いる場所など記憶しているはずのことを忘れてしまうことです。自分の家族ですら「誰ですか?」と聞いてしまうことがあります。
■もの盗られ妄想というのは、自分で置き忘れたものを盗まれたと感じて、介助者や支援者を責めたりしてしまうことです。
アルツハイマー型認知症への対応
アルツハイマー型認知症では、同じことを繰り返して話すことが増えてきて、慣れていない人は「また同じことを言っている。」と指摘してしまいます。
しかしながら、患者からすると、初めてのつもりで話しています。また、記憶障害があるといっても、感情や気分は維持されているので、怒鳴って静止したりすると心的負担となり、うつ状態に至ることがあります。
部屋にカレンダーや時計を置いておくと、自分で確認することができるため、見当識障害における混乱を緩和することができます。
施設や病院内での徘徊については、患者に目的があって動き出したわけですから、優しく理由を尋ねてあげてください。もし、「家族が呼んでいる」など事実にない理由を話した場合は、しばらく行動を共にして、「そろそろ部屋に戻りましょう。」と誘導してあげてください。
認知症に対して、拘束や部屋に閉じ込めるようなことは原則してはいけません。しかしながら、自傷他害、自死する危険性がある場合、一時的に拘束することが認められます。その場合は、心身に負担がないように落ち着くまで待ち、病院に連絡して、入院に繋ぎましょう。
公認心理師試験対策
第3回公認心理師試験では、簡単と思いきや意外と自信を持って答えられない出題がありました。
【問22】アルツハイマー型認知症について、最も適切なものを1つ選べ。
- ①うつ症状が起こる。
- ②見当識は保持される。
- ③近時記憶障害は目立たない。
- ④具体的な幻視が繰り返し出現する。
- ⑤注意や明晰さの著名な変化を伴う認知の変動がみられる。
■正解は①です。記憶障害や見当識障害などで心的負担があり、うつ症状が起こることが多いです。
MMSEや長谷川式の認知症検査を思い浮かべて、消去法で解答するとよい問題だったかと思います。
②は見当識障害があるため✕です。③近時記憶障害は認知症に多く見られる症状です。MMSEや長谷川式でも遅延再生の検査項目があります。④幻視があるのはレビー小体型認知症です。⑤アルツハイマー型認知症は徐々に進行するため、分かりやすい変動はないので✕です。
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