【ポジティブ心理学】楽観的な人は幸せなのか

こんにちは。中津です。

ポジティブ心理学では、人々の幸福感を高めることを目的にしています。学習性無力感でも有名なセリグマンが提唱し、勢いのある学派です。

今回は、「楽観的な人は幸せなのか」というテーマでお話します。果たして、楽観主義の人は本当に幸せなのでしょうか。

幸福感とは

心理学における幸福感とは、自分目線の幸福感が重要であるとの考えから、「主観的幸福感」や「人生満足感」という概念で研究されることが多いです。つまり、周囲の人がどう思っていようと、本人が幸せだと感じていることが大切ですよ。ということですね。

これまで、幸福感との関連が示されているのは、自尊心、外向性、神経症傾向の低さなどです。おおよその見当はつくと思いますが、些細なことでも抑うつ的に一人で悶々と考えてしまう方は、幸福感が低くなります。

幸福感には、認知的な側面と感情的な側面が考慮されています。心理学の行動理論で説明すると、人は感情を抱く際に、まず認知することが必要になっています。

例えば、劣等感を抱くときというのは、他者と自分を比較して、自分が劣っていると認知した場合に、劣等感が生じます。

幸福感もこれと同様です。サプライズプレゼントをもらって、仲間や恋人の存在を改めて認知し、幸せを噛みしめるわけです。

幸福感と楽観性の関係

先ほど、抑うつ的に考えてしまう方は、幸福感が低くなると話しました。楽観性の高い人は、良くないことがあっても、「笑っていれば何とかなる」とか「寝たら忘れられるから大丈夫」とか言いませんか?

これは、意識的に考えないようにしている場合があって、実はストレスを抱えています。しかしながら、抑うつ的に考えて過ぎてしまう人に比べると、ストレスを受け流す力があると言っていいでしょう。

楽観的な人の特徴として、原因帰属に特徴があることがわかっています。原因帰属とは、出来事の原因を何のせいにしているか、という捉え方や意味づけの仕方のことです。

楽観的な人は、ポジティブな出来事の原因を内的、安定的、全体的な要因に帰属させ、ネガティブな出来事の原因を外的、不安定的、特異的な要因に帰属させます。

つまり、良いことがあったら、自分や仲間の努力や振る舞い、性格などのおかげとし、悪いことがあったら、そのときの運や社会情勢などのせいにするということです。

このように、落ち込む時間を少なく、幸せな時間が多くなるような原因帰属を普段からしているわけです。

また、楽観的な人は、自分の未来に対してポジティブな考えを持ちやすいこともわかっています。

ネガティブ思考な人は、自分の未来に不安を持っています。先にある結果を良くない方向に想像してしまい、なかなか行動に移せないほか、周囲から見ても自信のなさが見えてしまいます。

一方、ポジティブ思考の人は、自分の未来に希望を持ち、それが結果的に行動に移りやすかったりもして、周囲の期待を得ることにも繋がります。

この意味で、楽観的な人は、悲観的な人に比べて、身体的、精神的、社会的、それぞれの健康度も高くなっているという報告もあります。

実際に出会った楽観的な人

これまで生きてきた中で、特に記憶に残っている方のことを話します。女子大学生のAさんです。

僕は大学院生として、同じ指導教官のもと研究の話などをする仲でした。Aさんは、生粋のポジティブ人間ではなく、不安や心配が強い方でした。しかしながら、楽観的に振る舞い、笑顔でいることを大切にしていました。

僕の立場から見ていると、常にAさんの周りに学生が集まり、先生方も世話を焼いてくれていました。いわゆる愛されキャラですよね。Aさんの自信のなさは、周囲の人にも伝わっていましたが、Aさんは嫌なことがあっても、笑ってごまかそうとしています。Aさんは、人間関係でも決して敵をつくらず、誰にでも笑顔で接していました。

ある時、「無理してない?」と聞くと、「無理してます」と言うのです。続けて「小さいときにお母さんに笑っていれば、良いことあるよ、と教えてもらいました」と言いました。

僕は、こう思いました。Aさんは不安症傾向のある子どもだったのだろう。お母さんが教えてくれた生き方のコツを信じて、そのおかげで今まで上手くやってこれたのだろうと。

時期的に、卒論と就活で苦しいときでしたから、Aさんの不安も最大だったろうと思います。頭の良い方だったので、何が不安なんだろうと思うくらいでしたが、卒論などの相談に乗ったりして、情緒的支援はしました。その後、予想通りに全てを上手くこなしていきました。

楽観性というのは、性格的に持っている楽観性だけでなく、意識して振る舞うことも、間接的に本人の幸福に繋がっていくのだと学びました。

最後に

いかがでしたか?

楽観性というのは、事を深刻に考えないという意味で捉えられやすいですが、実はそうでもなく、しっかり考えている方もいます。

答えが出にくいことで悩み続けるよりは、行動して前進しよう。自分の振る舞いで周りを明るくしよう。そう思う方もいるのです。

僕は、こうした方々の生き方は素晴らしいと思います。僕は、結構ネガティブ思考なので、同じようには生きられませんが、羨ましく思います。ぜひ、皆さんもマネできる部分は参考にしてみてはいかがでしょうか。

臨床心理学

Posted by Cozy