教育現場における心理支援の実態

こんにちは。中津です。

今回は、「教育現場で実感した心理支援の困難」というテーマでお話します。

自分の経歴

まず、僕の立場についてです。僕は地方の特別支援学校と公立高校での勤務経験があります。また、小中学校の教員の知り合い、友達も多いです。

僕は、地方国立大学の大学院で、学校臨床心理学を学んでいました。また、教育支援センター(適応指導教室)でのボランティアを1年間、経験しています。この経歴も踏まえて、読んでいただければと思います。

教員の理解が得られない

僕が大学院を修了して、講師として働き始めて、感じたことです。子どもの支援に関する書籍や論文を読むと、学校での支援の実践などを知ることができます。しかしながら、いざ現場に出てみると、「甘えだろ?」という教員が結構な数いることが分かりました。

僕の感覚では、30〜50歳くらいの教員に多いように感じました。学校の中で、支援に当たるのは、担任を含め数人の教員です。もし、担任が理解のない教員の場合、子どもは悲惨な対応を受けることになりかねません。

学校内の支援システム

学校は組織的に支援を検討します。あるクラスの生徒が不登校になった場合、担任と教務と生徒指導が動きます。現状を把握した上で、管理職と支援を検討し、ようやく支援が実施されます。ちなみに不登校やイジメは、各校長から教育委員会に報告され、事情が把握されます。

ここで、ニュースでよく見る「もみ消し」が起こってしまいます。担任が把握していても、他の教員がイジメを否定したりして、事実確認されないまま、教育委員会にも報告されないなどの場合です。これは、あってはならない過失です。

子どもの心の問題がある場合、教員が発見するか子どもの自己申告で把握され、保健部(教育相談の係)が教育支援会議を開催します。担任、保健部主任、教務主任、所属科の主任、管理職などが会議の成員です。この支援会議で支援の方針が決定され、定期的に報告と支援の再検討が行われます。

システム上の困難

このシステムに関わる教員は、基本的には心の支援に理解がある教員です。しかしながら、仮に管理職が理解を示さない場合、支援会議は暗礁に乗り上げることになります。

また、学校にはスクールカウンセラーがいます。基本的には週に1回だったり、2週に1回だったり、学校の特徴に応じて、頻度も変わりますが、非常勤で配置されます。国立大学付属の小中学校や生徒数が多いマンモス学校では、常駐していることもあります。スクールカウンセラーは、教育支援会議にも参加し、支援の方針について助言をします。

しかし、非常勤の場合は、学校ことが把握しづらいこともあり、支援会議でも意見が出しにくくなります。また、常駐している場合は、生徒数に対してスクールカウンセラーの数が足りていないのが現状です。子ども一人ひとりへの慎重な対応が難しくなっています。

子どもの声が拾えない

高校だと科が分かれていたり、授業を持たなかったりして、全く関わりのない生徒もいます。僕は、支援の知識を持ちながらも、あくまで普通の教員でしたので、支援の会議にも出ることはなかったですし、教育相談を実施することもありませんでした。

でも、関わりのある生徒は、僕が心理学を勉強していたと聞いて、相談をしてくることもありました。余程のことは教育相談に繋げようと思っていましたが、幸い余程のことはなく、平和に過ごせました。

でも、拾い切れていない声はいっぱいあるように感じていました。関わりのある生徒づてに、「友達が悩んでいるようで……」と聞いたことも多いです。また、別の学校の友達が、ということもあります。悩みを抱えている子どもは多いです。自己解決できるレベルならいいのですが、自傷などと聞くと、心が穏やかではいられません。

アンケートの重要性

生徒の心の声を拾うために、学校生活上のアンケートがあります。イジメによる自殺などが報道され、大きな問題になったことで、文部科学省が各学校でイジメの把握を目的としたアンケートを年に2回ほど、実施するように通達しました。

これによりイジメの認知件数は、格段に増えました。また、抑止力としての効果も僅かながら出ていると考えられます。学校によっては、イジメの把握だけでなく、悩みなどを記入する欄を設けている場合もあります。

本来、記名は任意ですが、記名した上で悩みを書く生徒もいます。このようにアンケートのおかげで、支援に繋がるケースも増えています。

外部との連携

学校には、生徒指導、教務、総務などの分掌という係仕事があります。分掌の中に、教育支援コーディネーターや特別支援コーディネーターというものがあり、基本的にはこのコーディネーターの教員が外部との連携を図ります。

分掌は、最短で1年で変わることがあります。少なくとも数年に一度は変わるので、引き継ぎをしながら、連携を継続させます。一方、連携している外部の支援者としては、コロコロ変わるので、引き継ぎが大変です。支援の進行段階など、子ども一人ひとりで引き継ぎが必要となるからです。

学校のシステムは、あまり支援を考慮されていません。あくまで学校運営の一つに過ぎないからです。この意味でも、各学校にスクールカウンセラーが常駐されれば、学校の心理支援は手厚く、スムーズになると思います。

最後に

いかがでしたか?あくまで僕の経験をもとにしているので、異なる学校もあると思います。その場合は、Twitterやコメントで教えていただけると嬉しいです。

では、今回はここまでです。

臨床心理学

Posted by Cozy