他者から信頼される自己開示という方法【社会心理学】

こんにちは。中津です。

今回は、「他者から信頼される自己開示という方法」というテーマでお話したいと思います。

僕は、大学院で学校臨床心理学を専攻していました。修士論文は青年期の心の発達について書いたのですが、学校教員を目指していたので、生徒や保護者から信頼されるために、信頼性に関する論文を読んで勉強していました。

自己開示

信頼性の論文を読んでいて最も簡単な方法が「自己開示」だと思いました。自己開示というのは、自分の情報や内面を相手に示すことです。簡単に言うと、自己紹介のようなことです。

よくある自己紹介は、名前、所属、趣味などを話すと思いますが、これは表面的なことしか話していません。でも、相手の情報を知ることで、人はなぜか安心感を得るようになっています。

また、自己紹介をすることで信頼形成が期待できます。

例えば、初対面の相手が自己紹介をしました。そして、趣味が貴方と同じことが分かったとしましょう。人は、自分の関連することに対して、好意や安心を抱きやすいことが分かっています。この効果により、全くの初対面だった人に対して、無意識に信頼を寄せやすくなるのです。

自己開示の威力

人は、無意識には逆らえません。この自己開示による効果は、凄まじいものです。

自己開示は、ビジネスでも利用されています。それは名刺です。営業を仕事としている人は、自分の身元を明かすために名刺を渡します。名刺というのは、誰でも作れますし、嘘の情報を載せることも簡単にできます。しかしながら、名刺を貰った人は、なぜか相手を信用しようという心が開いた状態になってしまうのです。

ちなみに、営業を断りたい場合は、名刺をもらう前に断ると、断りやすいです。ですから、営業の人は、何かと理由をつけて、とりあえず会おうとしてきます。会った瞬間、心をこじ開け、商品の説明に入られてしまいます。

次に、経験を開示するとしましょう。「悪いことをして逮捕されたことがあるんだ」という自己開示をした場合、疑いが生じます。一方で、「ボランティアをして、こんな経験をしたことがあるんだ」という自己開示をした場合、信頼性が増します。

これは、当然のことなのですが、この自己開示の隠れた効果が凄いのです。

後者の良い経験の自己開示で信頼性が生起するのは当然ですが、前者の悪い経験の自己開示においても、不思議と疑いだけでなく少しの信頼が生まれていませんか?

本当に不思議です。悪い経験を話されただけなのに、無意識に「自分の悪い過去を話してくれるんだ」と心を開いてしまいそうになるのです。

これは、返報性という社会心理学の概念で説明されます。人は親切をされると同等の親切を返そうと無意識に動いてしまいます。これを返報性と言います。

自己開示も同様に返報性が働きます。人は、自己開示をされると、同等の自己開示を無意識に返してしまうのです。

悪い過去を自己開示された貴方は、無意識に自分の悪い過去を話しやすくなっています。それを話したら最後、似た経験を持つ者同士で信頼関係が築かれます。良くない道に進んでしまうことにもなりかねません。

また、心理学を悪用する人は、たくみに「貴方にもそういう過去があるでしょう?」と引き出そうとしてくるでしょう。心理学を学ぶと、こうした防衛にも繋がります。騙されないよう気をつけてください。

内面の自己開示

内面の自己開示では、それが受け取る側と似たものだったり、共感できるものであったりすると、信頼に繋がっていきます。特に感情の自己開示は、相手の感情を聞き出す時に有効です。

「僕は、今、悲しい気分になっています」と今の感情を伝えた後で、「貴方はどう感じましたか?」と聞くと、ほぼ全ての人が感情を教えてくれます。これは、カウンセリングでも使われることがあります。

ちなみに、感情を聞き出すことで、クライエントの心が乱れることがあるので、もし使うとしても慎重に使われています。小さい子どもに聞いたりする際は、特に使えるテクニックです。

内面の自己開示を行うと、特に信頼関係を築きやすいです。それは、他の人が知らない、話しづらいことを開示してくれているからでもあります。ですから、タイミングは大切です。

信頼される自己開示

ビジネス利用や悪用については、その時点では無意識に従ってしまうものの、後悔することになります。すなわち、これは自己開示を利用した一時的な信頼関係に過ぎないのです。

自己開示を利用して、一時的に仲良くなったとしても、本当の信頼関係を築くためには、関係を大切に維持していく必要があります。結局のところ、人間性が大事なのです。自己開示は、すればするほど、その人柄が見えてくるので、悪い人間はどこかで縁を切られます。

最も信頼される自己開示としては、自分の挫折経験だと思います。これは、共感を得やすいです。挫折経験に加えて、それを乗り越えられたエピソードが語られると、その努力への評価もプラスされ、信頼が得られます。

よく落ち込んでいる人に対して行われる自己開示です。でも、気をつけてください。落ち込んでいる人に対して、「自分が乗り越えられたんだから貴方もできるよ」と言うのは、少しプレッシャーを与えてしまいます。

ですから、あくまで共感する意味で、「僕もこんな辛いことがあって……、何とか乗り越えられたから良かったけどなぁ」くらいで、意思決定は相手に委ねてあげてください。そうすると、その場では受け止めてもらえると思います。

まとめ

  • 自己開示は自己紹介のようなこと
  • 自己開示は無意識の部分に訴えられるために、回避が難しい。
  • 信頼関係は結局、人間性と継続が大事。
  • 信頼関係に最も繋がるのは挫折経験の自己開示。