【中学生の不登校】元教員が高校受験合格へのヒントをお教えします。【一般入試(筆記)編】

2020年12月30日

中学生の不登校で、まず考えてほしいのが、その先の進路です。不登校になったばかりの初期の状態では、先のことを考える余裕がありません。しかし、他の子が高校受験に向けて準備をし始めるときには、少し心の状態も落ち着いていることでしょう。

その時、受験の準備が全くできていないと、試験には合格できません。高校は義務教育ではないので、単位を取得して卒業しなければ「高卒」になりません。勿論、専門学校や短期大学、4年生大学も受験できません。

◆例外的に、高校卒業程度認定試験というものがあって、その試験に合格すれば、「中卒」のまま、専門学校や短期大学、4年生大学を受験することができるようになります。

今回は、不登校になって高校受験を諦めてしまっている方へ、少しばかりの希望になればと思い、『不登校中学生が高校受験に合格する方法』を解説したいと思います。今回は、一般入試(筆記試験)に特化した記事を書きます。推薦入試については、こちら(↓)が参考になると思います。

①高校受験の方法を知る

高校受験では、都道府県、公立・私立で内容が異なります。高校受験の方法については、詳細にまとめた記事があるので、そちら(↓)を読んでください。

さて、↑の記事で高校受験の方法がおおよそ理解できたことと思います。次は、おすすめの勉強の仕方を紹介します。

②効率的に勉強しましょう

高校受験の方法に合わせて、勉強の仕方を変えましょう。効率的に勉強することで、目標の高校に合格できる確率を上げましょう。

公立5教科で高校受験する場合

まず、公立の高校受験で5教科を受ける場合は、独学は難しいと言っておきます。中学校段階の5教科は、それほど憶えることは多くありません。しかしながら、5教科を限られた時間で網羅するのは難しいです。

その場合は、大手の個人塾に通うことが有効です。大手の個人塾は、都道府県ごとの高校受験に強く、出題傾向をしっかり把握しています。また、個人の進捗状況に合わせて、教えてくれます。つまり、出題されやすいところから勉強して効率的に点数に繋げることができるのです。

一方で、不登校になって直ぐに適応指導教室やフリースクールに通うことができた場合は、学校の進度に遅れないように学習支援をお願いしましょう。

また、子どもに勉強する意欲がある場合、日中は、適応指導教室やフリースクールに通い、夕方から塾に通うことも検討しましょう。

上手にやれば、学校に通っている子よりも勉強時間が確保できます。学校に通う子どもは、副教科や特別活動の時間もあるので、その時間を勉強に費やせば、一般入試の点数で十分に勝負することができます。

塾に行かない場合の勉強方法

受験する高校のレベルによっては、塾に通わなくても合格することができます。例えば、レベルが高くない公立高校を受験するとします。後期受験では、5教科を受けることになりますが、暗記することで点数が確保できる社会や理科で点数を稼ぐことができます。

教科書の内容を暗記するつもりで、毎日読み直しておくだけでも、点数は上がります。加えて、数学、英語、国語でも比較的得点しやすい部分を確実に得点できるように勉強します。難しい問題が解けなくても、合格できると思います。

私立3教科で高校受験する場合

私立の高校受験では、高校が独自に試験を作成しているため、3教科で受験できたりもします。5教科で受験するには勉強時間が足りずに間に合わないという方は、3教科に絞って勉強することができます。

公立で受験する人は、滑り止めとして、私立の高校も数ヶ所受験するのが一般的です。勉強ができる人は、公立に受かって、公立に進学します。一方で、公立に落ちた人は私立に進学することになります。初めから私立高校の受験に注力する場合は、3教科に絞って勉強し、さらに出題傾向などもしっかり対策できる時間があるので、この公立高校に落ちてきた人たちを出し抜くことができます。

こちらも理想は、塾に通って勉強した方がいいです。大手の塾は私立高校の情報も持っています。出題傾向を掴みながら効率的に勉強しましょう。

③過去問題集で勉強しよう

まずは、受験する高校の「過去問題集」を手に入れましょう。高校がある近くの大きめの書店に行けば、売っていると思います。また、インターネットで検索すると、過去問題集があるかどうかわかります。大体は、大手の塾が出版しています。

とりあえず、第1志望の高校の過去問題集は全部で3周しましょう。過去問題集は5年分くらい入っていると思います。

◆1周目

まずは、受験するつもりで、時間を計りながら解いてみましょう。1年分を解いたら、その日のうちに答え合わせをして、解説を読み込みます。これを5年間全て行いましょう。

1周目が終わったら、5年間で何回出題されているか出題頻度の多い問題を調べてください。そして、出題の頻度が多いところから勉強しましょう。教科書と参考書に戻って、勉強してください。

◆2周目

ある程度、勉強できたら、過去問題集の2周目に入りましょう。2周目で出題頻度の多い部分がしっかり得点できていれば、OKです。2周目は、1周目より点数が上がっているはずです。

次に、過去問題集で出ている部分は、また出題される可能性が高いので、5年間で1回でも出ている部分は勉強していきましょう。

◆3周目

最後に3周目をしますが、確実に合格できる点数が取れる自信がついてから、3周目を行ってください。少なくとも、2回は見ている問題ですので、合格できて当然くらいの気持ちで行いましょう。

ここまでで、合格基準を満たしている場合も油断はできません。出やすいところを勉強したとはいえ、本番で出ないことも考えます。第1志望の過去問題集を3周したわけですが、次は、第2志望の過去問題集を同様の方法で、勉強しましょう。

高校受験では、出題する側にとって人気の問題があります。第1志望の高校で出題されている問題が、他の高校でも出題されていることは、よくあることです。また、新鮮な気持ちで、第2志望の高校の過去問題集を解いて、自分の実力を試してみましょう。

このとき、第2志望なので、第1志望より簡単なはずなので、点数は上がらないといけません。ここで、点数が上がっていないようであれば、もう少し幅を広げて勉強する必要があることがわかります。その場合は、予想問題集などを沢山解いていきましょう。

第2志望の高校の過去問題集で、余裕がある場合、あえて第1志望よりレベルの高い高校の過去問題集で勉強しましょう。できれば合格圏内点数を取れると良いです。取れなくても、ボーダーラインぎりぎりくらいは目指しましょう。

コツコツ勉強は手を抜かない

不登校中学生の高校受験で弱点になるのは、積み重ねることが力になる部分です。例えば、英単語、英文法、漢字、熟語などです。これらは、少ない日数で一気に憶えることができません。コツコツと憶えては忘れて、忘れては憶え直して、と繰り返すことで力になっていきます。毎日、小テストをするなど、コツコツ憶えることが重要です。

学校に通う子は、授業で小テストをしたり、定期テストの問題で出たり、宿題を出されたりして、向き合う頻度が確保されています。不登校になると、自分で勉強するか親やフリースクールの支援員などにお願いする必要があります。

勉強に意欲が向かない時期でも、少しずつやっておいたほうがいいです。後で、受験勉強に集中しやすくなります。

滑り止めを考えよう

受験勉強が上手くいっていても、コロナやインフルエンザなど何があるかわかりません。必ず滑り止めを準備しましょう。

挑戦したい高校を第1志望と考えて、少しレベルの低い第2志望、確実に合格できる第3志望までは考えてください。

最悪の場合は、公立の前期(面接主体)で受けたかったけど、体調不良で受けられず、その学校の後期は試験主体で、合格が厳しくなったということがあります。それでも公立を受けたい場合、私立で受かっておかないと、公立に落ちたら行く高校がないという状況になってしまうので、滑り止めは大切です。滑り止めがあれば、あとは公立に集中できます。

僕自身も、公立の後期受験で、担任からはギリギリと言われていた高校を受験しました。私立の一般受験が先にあって、合格できたので、公立高校に落ちたら、私立に行くかという気持ちで受験できました。結果的に公立高校に合格できたのですが、滑り止めがなかったら、受ける高校を変えていたと思います。ちゃんと勝負したいのであれば、しっかり滑り止めを準備しましょう。

最後に

受験の手前になって焦らなくていいように、できるだけ早いうちに準備を始めましょう。学校に通っている子は受験に対する意欲がない場合でも、先生や友達に刺激されて、受験モードに入っていきます。

不登校の子は、その点も自分で頑張っていく必要があります。一番、簡単なのは塾やフリースクールという環境に身を置くことです。一人でやっていくのは、しんどいです。まずは、周りに頼ることを考えてみてください。

不登校になって、悲しさや絶望感があると思います。それでも、ここで頑張ることで、高校に進学し、人生が変わるかもしれません。ぜひ、一歩を踏み出してみてください。陰ながら応援しています。

不登校,臨床心理学

Posted by Cozy