高齢者虐待の防止について【公認心理師試験対策】

2021年2月26日

高齢者虐待

高齢者虐待とは、高齢者が他者から不適切な扱いを受け、自由や権利を侵害されることです。高齢者虐待には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト、経済的虐待があります。

■経済的虐待は、高齢者虐待と障害者虐待に含まれていますが、児童虐待には含まれません。

ネグレクト

ネグレクトでは、主に医療ネグレクトや介護ネグレクトがあります。

医療ネグレクトは、介護者である家族が病院にかかる必要があるにもかかわらず、通院させなかったり、怪我の治療をしなかったりすることです。

介護ネグレクトは、介護者である家族や介護サービスによる介護放棄を指します。食事を与えなかったり、入浴や洗面を介護しなかったりすることです。

経済的虐待

高齢者が得るはずの年金や保険などを家族が不当に管理することです。介護サービスも状態によって様々ですが、お金を出せば高級な施設もありますし、高い生活水準を確保することができます。家族が高齢者の意思を確認せず、不当に使ってはいけません。

高齢者虐待への対応

高齢者虐待の多くは、認知症や身体不自由といった社会的不利が背景にあります。ゆえに発覚しづらいという特徴があります。

高齢者虐待を発見した場合は、各都道府が設置する福祉事務所、市区町村役所、警察への通告をしなければなりません。これは、高齢者虐待防止法において国民の義務とされています。

■通告義務は、守秘義務より優先されます。状況説明の際の個人情報の取り扱いなどは、問題になりません。通告を受けた職員や警察が、その後の守秘義務を受け負います。

身体拘束

身体拘束は、主に高齢者虐待や障害者虐待の際に問われます。高齢者でいえば、情緒的混乱による自傷他害があるなどの状況で、身体拘束を考慮することがあります。

とはいえ、緊急かつ止む得ない状況での身体拘束や監禁は、虐待と扱われますので、注意が必要です。極力、行わなくて済むように準備しておくのが良いでしょう。

身体拘束の例外

次の3つの条件を満たすことが必要です。

①切迫性

自傷他害があるなど、身体の危険がある場合

②非代替性

近くに助けを求められる他の人がいないなど、身体拘束以外に方法がない場合

③一時性

身体拘束が一時的で時間が短い場合

■情緒的混乱により、自他を噛みつく、殴るなどが考えられます。尖った物や刃物、テーブルの角など硬い物についても部屋から排除しておくと良いでしょう。

もし、身体拘束をする場合は、事後でもいいので、本人や家族への説明、時間や原因など記録をしておく必要があります。後で、トラブルにならないように、適切な手順を踏みましょう。

公認心理師試験対策

日本は、超少子高齢社会に入り、今後も高齢者介護は注目されることでしょう。公認心理師試験では、通告義務や身体拘束などの勉強しないと知ることがないような細かい部分が出題されています。

確認問題

  • ①高齢者虐待は、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待の4つである。(○or✕)
  • ②身体拘束では、緊急性、一時性考慮される。(○or✕)
  • ③通告義務より守秘義務が優先される。(○or✕)
  • ④身体拘束をした際は、記録をとっておく。(○or✕)
  • ⑤高齢者虐待を発見したときは、児童相談所や福祉事務所通告する。(○or✕)
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