場面緘黙症児のおもらし(トイレの失敗)について【保護者の方へ】
はじめに
僕は、公認心理師という立場からSNSで紹介していただいて、場面緘黙症のピアサポートのLINEコミュニティに支援者として参加させていただいています。(本業が忙しくて見る専門になってしまっていますが……)
場面緘黙症の保護者の声で、幼稚園や小学校において声が出せないこと、トイレに行きたいと発することができないことで、おもらし(トイレの失敗)を経験している子が多いことに気づきました。
当然、幼稚園や小学校の低学年では、おもらし(トイレの失敗)は場面緘黙症でなくても一定数はあります。しかしながら、場面緘黙症児の不安が強いという傾向もあって、その後の幼稚園・学校生活においても影響があることも考慮して、今回の話題とします。
なお、場面緘黙症の詳しい情報は下の記事を参考にしてください。
場面緘黙症児のおもらし
場面緘黙症児のおもらしは、統計はないものの、非常に多いと感じています。あくまで僕の想像に過ぎませんが、夏場に冷たいものを飲みすぎて活動途中や授業中に尿意を催したものの、手を上げて「トイレに…」とは言い出せません。こういうケースが多いのだろうと思います。
Twitterで、ある当事者(現在は大人)にお話をお聞きすると、トイレの失敗を防ぐために『喉が渇いていても、水分はとらないようにしていた』などの声を耳にしました。
現在の学校は、部屋にエアコンが設置されていて、快適に過ごせるものの、外で遊んで汗をかいて、教室に戻ると冷房で身体が冷えるということもあるそうです。
こうなってくると、子どもの健康や制限についても考えていく必要があります。
支援者に協力をしてもらう
保護者の方ができることと言えば、支援者(幼稚園や学校の先生)にお願いすることです。
どういったお願いをすればよいのかというと、『活動の前や後にトイレに行ったか確認してほしい』や『(小学校の教室において)席を窓際後ろにして、トイレに行く合図を先生に送るから行かせてあげてほしい/先生が机間巡回してトイレに促してほしい』といったところです。
多少、無理のあるお願いのように思えますが、相手は教員ですので、場面緘黙症の理解をお願いした上での配慮というところで、協力してもらえると思います。
教員は大学講義において、教員免許を取得するために『合理的配慮』という特別支援に関する勉強をしています。もし、担任に相談して、納得していただけないのであれば、園長や学校長に直接的に相談してもいいと思います。
おもらしのリスク
小さい頃のおもらし自体は次第に忘れていくことが多いですが、おもらしによって学校に行くことができなくなったとしては、その期間の学習や社会性の獲得などの遅れは取り戻すのが大変になります。
場面緘黙症児は、もともと不安傾向が強い特性があります。トイレの失敗をした翌日など『からかわれるのがこわい』や『何か言われそうで嫌』といった理由で行き渋りが起こる可能性が高いと考えられます。
こうしたリスクが予め分かっているのであれば、ある程度の予防はしたほうがいいです。場面緘黙症児の不安傾向は強く、友達と活動を共にするなど、不安を乗り越えるべき要素が沢山あります。
これをトイレの失敗で、中断してしまうと、不安が募るばかりか『もう6年生になるのに〇〇ができない』といった年齢や周囲への比較が始まり、より本人が劣等感を抱きやすくなります。
最後に
これまで場面緘黙症について色々と考察してきました。その記事は当ブログの『カテゴリー:場面緘黙症』から読んでみてください。
なお、LINEの場面緘黙症のピアサポートについてはTwitterアカウント『緘黙パパ』さんが運営しています。僕から直接的に紹介することはできませんが、ぜひ緘黙パパさんにDMを送ってみてください。下にリンクを貼っておきます。