吃音症による社交不安障害の併発【心理的支援を考える。】

吃音症とは

吃音症とは、DSM−5では小児期発症流暢障害と呼称されます(以下、吃音症という)。吃音症は、滑らかに話すことができないことで社会生活に困難がある状態を指します。

吃音は、連発「あ、あ、ありがとう」、伸発「あーーりがとう」、難発「・・・がとう」などのパターンがあります。

吃音症の発症は、体質的(遺伝的)な要因であることが多く、これを発達性吃音ともいいます。また児童期や青年期のストレスや脳損傷など、後天的にきっかけがあり発症する場合は、獲得性吃音と言われています。

吃音症の方の多くは、話すことに不安を抱きます。当事者の話では、緊張しているときや興奮しているときなど、精神状態が不安定な場合に症状が重く発現するそうです。

困り感は非常に強く、また発達に伴い、自分の吃音が出やすい言葉や状況が分かってくると、予期不安があるため、それらを避けるように行動するようになります。

これを適応的な回避行動と考えることもできますが、多くの方は「普通に話したい」と考えていることと思います。

社交不安障害

社交不安障害は、他者や社会における会話や発表、手続き、買い物、施設の利用などの社交場面において、不安や恐怖があるために、行動が制限されてしまう障害です。

しばしば家から出られなかったり、電話予約ができないなどの困難を示し、社会生活に支障が出ます。受験や就職の際の面接に挑むことができない場合もあり、能力があっても理想の目標に到達できず、思い悩む方もいます。

吃音症による社交不安障害

吃音症により社交不安障害を併発することがあります。吃音症は発症から4年以内に74%が自然に改善する(Yairi,E.&Ambrose,NG. ,1999)とされながらも、その多くは言語聴覚士による支援経験があることも報告されています。

吃音症は、社交不安障害を併発した場合、吃音症を治療すれば社交不安障害も改善すると考えることもできますが、不安を予期して回避するという防衛的反応は、残ってしまうこともあるばかりか、吃音症の治療を妨げる要因にもなり得ます。

言語リハビリとカウンセリング

吃音症は、社交不安障害だけではなく、自閉症スペクトラムや学習障害などを併有していることもあります。その場合、言語聴覚士によるリハビリテーションと臨床心理士や公認心理師による心理的アプローチが有効になることがあります。

吃音症に有効とされているリハビリテーションの方法は、流暢性形式法や吃音緩和法と言われる言語療法があります。心理療法としては、不安に対するアプローチとして認知行動療法が挙げられます。

心理的アプローチとして

ここからは「自分にできること」の話になりますが、まずは不安を取り除くこと、もしくは不安を受け入れることに焦点化されると思います。

言語聴覚士との連携を図りながら、リハビリテーションの効果を高めるための基盤づくりとして、施設に向かうことの不安や言語聴覚士との対話時の不安などにアプローチしていくことになります。

また、小学生〜大学生であれば、学校側に合理的配慮を依頼することも大切な支援になろうかと思います。当人と学校との間に入って、教育上必要な合理的配慮を一緒に検討したり、教員に対するコンサルテーションを行うことで、間接的に学校生活を支えることになります。

最後に

今回は、僕自身が不勉強なために表面的な考察に留めました。今後も、吃音症や社交不安障害に関する支援について考えていきたいと思います。

もし、この記事を読んでいただいた、当事者、保護者、支援者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ経験など情報を教えていただければ幸いです。

Twitter(@pompombomm)で検索していただいて、DMなどいただければと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

臨床心理学

Posted by Cozy