教育支援センター(適応指導教室)の特徴

2021年1月20日

今回は、僕が大学院生の時に、ボランティアで行かせていただいていた適応指導教室について、お話したいと思います。あくまで一例ですが、参考になれば幸いです。見学もできるので、各適応指導教室に問い合わせてみてください。

適応指導教室とは

適応指導教室とは、教育支援センターとも言われ、不登校や学校に行きづらい小中学生が学校のかわりに通う公的な教育施設です。

■「〇〇市 適応指導教室」か「〇〇市 教育支援センター」と検索すると、出てくると思います。

適応指導教室は、市区町村単位で設けられています。教育支援に関わる公的な機関なので、同市区町村の公立学校で教育を受けるのと同様に、学校に通わずとも、適応指導教室に通うことで出席扱いとなります。

■適応指導教室の設置は、努力義務であり、未だに設置されていないため市区町村もあるようです。

僕が、ボランティアで行っていた適応指導教室のスタンスとしては、義務教育の機関で、かつ人数も多すぎると施設の運営が難しいということもあり、「学校に登校できるように」としていましたが、支援員は「それよりも居場所を」という考え方で、無理に学校に行かせるような発言はありませんでした。とにかく凄くハートフルな空間でした。

適応指導教室での活動

僕がボランティアで行っていた適応指導教室では、毎日、来る子もいれば、2日に一度、来るような子もいました。

保護者の負担も考慮し、欠席連絡もしなくていいというルールでした。ただし、来たときに聞き取りで、次はいつ来るのかを聞き、来る予定なのに来なかった場合は、職員が連絡をしていました。

多いときは16人くらい子どもが来ていました。小学生と中学生は同数くらいで、男女比も同率くらいでした。とはいえ、あまり大きな部屋ではなかったので、増えたら増設しないといけないね、という話も出ていました。

適応指導教室での活動は、学校のカリキュラムに比べると、緩やかで、「居場所づくり」「自己肯定感の向上」「教科指導」がメインになっていました。

子どもたちは、親の送迎がある子、自分で自転車や公共交通機関で来る子がいて、来るタイミングも無理に合わせる必要はなく、それぞれのタイミングで来て、活動に入ります。

  • 10:00まで自由遊び
  • 10:00〜11:00 勉強
  • 11:00〜12:00 自由遊び
  • 12:00〜12:40 昼食
  • 13:00〜15:00 勉強 帰宅

こんなかんじで、1日の予定が計画されていました。自由遊びの時間では、教室内に積み木やボードゲーム、テレビゲームや卓球台、ビリヤードなど沢山の玩具があり、支援員やボランティア学生も一緒になって遊びます。

午後の自由遊びの時間は、近くの大きな公園に行って遊んだり、施設内の体育館でドッジボールをしたり、一生懸命に遊んでいました。

勉強の時間は、支援員やボランティア学生が教科を教えます。学校で貰っている教材を使ってもいいし、問題集をコピーしてもらっている子もいました。

昼食は弁当です。コンビニで買ってくる子もいました。弁当が負担になる保護者もいるので、支援員もコンビニ弁当やカップ麺を一緒に食べて、会話を盛り上げていました。

また適応指導教室では、普段できない活動も大切にしていて、お楽しみイベントが年に何回もありました。

遠足で動物園へ行ったり、バーベキュー、登山もしました。調理実習としてホットケーキを作ったりもします。僕もボランティアとして参加させてもらって、子どもたちと一緒に楽しみました。

適応指導教室の支援員

僕が行かせていただいていた適応指導教室の支援員は、全員が小中学校の教員でした。中には、学校心理士の資格を持つ教員もいました。

加えて、非常勤で臨床心理士(カウンセラー)が来て、保護者との面談や遊戯療法などを行っていました。

■カウンセラーがいない市区町村も多いらしいです。

ボランティア学生は、教育系・福祉系の大学に通う学生ばかりで、子どもたちからすると、お兄さんお姉さんみたいな立場で、接していました。

これには狙いがあって、大人には話しづらいことを学生に話してくれることがあるからです。

その後で、支援員の先生たちに共有するという形を取っていました。勿論、子どもから話さないでね、と言われれば、必要性のあること以外は話さないということもできます。

支援員、ボランティア、誰においても、教育に対しての意欲が高く、自己肯定感を高める目的から、楽しく褒めて、という関わり方をするので、子どもにとっては居場所になりやすいと思います。

僕も子どもの夢や悩みの話をよく聴きました。泣きながら話す子もいました。

僕はたった1年、それも週1日しか、関わりがありませんでしたが、それでも沢山の思い出が残りました。

いじめの経験、片親で寂しいこと、勉強の劣等感、将来への不安、担任の先生が嫌いで不登校になった子もいました。

僕も、自分の経験から沢山のことを話しました。時には、アイドルが好きな子に合わせて、そのアイドルが出演する番組を見て、話をしたりするなどの工夫もしました。

兄弟姉妹もおらず、学校にも友達がいない子にとっては、こういった些細な会話が嬉しいのかもしれません。

最後に

もし、保護者の方で、子どもが不登校になり、活動の場を検討しておられる方は、学校に説明して、適応指導教室を紹介してもらってください。きっと子どもの居場所になると思います。

ただし、市区町村に数ヵ所しか設置されていないので、地方では遠くて通わせられないということもあろうかと思います。

また、子どもの意志を確認した上で、まずは見学に行ってみてください。歳の近い子どもや活動を見て、行ってみたいと感じてくれるかもしれませんよ。

何より、支援員の方は小中学校の教員なので、進路指導もしてくれます。

面接や小論文の対策もしてくれると思いますので、その点では、高校進学も視野に入れている子どもにとっては手厚い支援が受けられると思います。

中学校までは、学校に行けなかったけど、高校は通っているという子は多いです。また、高校は通信制もありますので、通信制高校を卒業したり、高卒認定試験を突破したりして、大学や専門学校に進むことも可能になります。

不登校といっても、小中学生の時期だけかもしれません。将来への可能性をできる限り残してあげられる選択ができると、希望を持つことがかもしれませんよ。

不登校の時期は、なかなか将来のことまで考える余裕がないかもしれませんが、夢や目標は子どもを闇から救ってくれることでしょう。

子どもの未来に幸あれ。

不登校,臨床心理学

Posted by Cozy