原因帰属【公認心理師試験対策】
原因帰属
原因帰属は、ある事象の原因を何に帰属させるかということです。つまり、失敗を何のせいにするか、成功を何のおかげとするか、ということです。
原因帰属は社会心理学の領域で発展してきましたが、臨床心理学でも扱われることがあります。例えば、臨床心理学では、学習性無力感や抑うつ的反芻といったネガティブなことに対する原因帰属として扱うことが多いです。
Seligmanら(1979)は、失敗に対する原因帰属を自分の努力や特性など内的なものに帰属する者は、そうでない者に比べて、うつ病に至る可能性が高いこと
成功に対する原因帰属を運や状況など外的なものに帰属する者は、そうでない者に比べて、うつ病に至る可能性が高いことを示唆しています。
Weiner,Bの原因帰属
代表的なものには、ワイナー(Weiner,B.)による原因帰属があります。Weinerの原因帰属は、以下の3次元で構成されています。
- ①原因の所在(locus)
- ②安定性(stability)
- ③統制可能性(controllability)
①原因の所在というのは、能力や努力など原因が自分の内側に存在するとした「内的帰属」と、運や他者からの妨害など原因が自分の外側に存在するとした「外的帰属」があります。
原因の所在は「内的帰属」と「外的帰属」
②安定性(stability)というのは、原因の連続性(変化しにくさ)を指します。自分のパーソナリティや文化的背景といった「安定」と状況や時期といった「不安定」があります。
原因の安定性は「安定」と「不安定」
③統制可能性(controllability)というのは、原因が自分の意志によってコントロールできる程度のことを指しています。努力や選択は「統制可能性が高い」、運や先天的要因は「統制可能性が低い」というように統制可能性の高低が考慮されます。
原因の統制可能性は「高い」と「低い」
Abramsonらの原因帰属
Abramson, Seligman & Teasdale(1978)によれば、原因帰属は以下の3次元で構成されます。
- ①内在性(internality)
- ②安定性(stability)
- ③全般性(globality)
①内在性(internality)というのは、事象の原因が自分の中にあるとすることで、自分の努力や能力といった「内的」と他者のパーソナリティや運の良し悪しといった「外的」の2次元が考慮されています。
内在性は[内的↔外的]の2次元
②安定性(stability)というのは、原因の連続性(変化しにくさ)を指します。自分のパーソナリティや文化的背景といった「安定」と状況や時期といった「不安定」の2次元が考慮されています。
安定性は[安定↔不安定]の2次元
③全般性というのは、原因が一般的であるものを指します。自分のパーソナリティや行動といった一般的に考慮される「全般的」と気分や情動といった限定的に考慮される「特異的」という2次元が考慮されています。
全般性は[全般的↔特異的]の2次元
内在性の細分化
Kinderman & Bentall (1996) は、内在性次元の外的帰属を次の3次元に分類しています。①と②については、内在性を細分化した形になります。
- ①他者への帰属(外的かつ人的)
- ②状況への帰属(外的かつ状況的)
- ③自分自身への帰属(内的帰属)
参考引用文献
- Abramson, L. Y., Seligman, M. E. P., & Teasdale, J. D. (1978) Learned helpness in humans: Critique and reformulation. Journal of Abnormal Psychology, 87, 49–74.
- Kinderman, P., & Bentall, R. P. (1996). A new measure of causal locus: The internal, personal and situational attributions questionnaire. Personality and Individual Di erences, 20, 261–264.
- Seligman,M.E.P.,Abramson,L.Y. & Semmel,A. (1979) Depressive attributional style. Journal of Abnormal psychology, 88, 242−247.