解離性同一性障害【公認心理師試験対策】

2021年3月20日

解離性同一性障害とは

解離性同一性障害(DID:Dissociative Identity Disorder)は、以前は多重人格障害と呼称されていました。解離性同一性障害は、心の負担から自己を守るために自身の中に複数の人格が作り出し、その人格が入れ替わったり自身をコントロールしたりします。解離というのは、心を守るための防衛的な反応で、一時的に記憶を押し込んでしまう状態です。

他の人格が起こした行為に対して、確かに記憶がありこともあれば、全く記憶がないということもあります。自分が知らない間に犯罪を起こしたり、癇癪を起こして学校や会社、家族との関係が悪くなってしまうこともあります。

解離性同一性障害では、主人格(元の人格)が存在し、他の人格が入れ替わり、主人格を守ろうとする行動をとることが多いです。解離性同一性障害には、憑依型と非憑依型があります。

憑依型

憑依型は、人格が身体に憑依したようにコントロールまで行います。他者から見ても、別人のように感じます。主語(私、僕、俺など)が違ったり、話し方や癖、雰囲気なども異なることがあります。

しばしば理性的かつ合理的に物事を判断するリーダーのような人格や、愛着を求めたり社会現実から退行することで目を背ける幼い子どものような人格が発現します。他にも情緒的混乱を示す人格や主人格を客観的に理解する兄弟の人格などがあります。

また、性別が異なる人格や主人格の数年前や数年後を思わせる人格が出現することもあります。

これらの人格は、その数や特徴は人によって様々です。カウンセラーがやりとりをしようとするとリーダー的な人格が現れ、理性的に話を聞いて、信頼関係を築くことができます。その後、それぞれの人格と交代してもらって話を進めていくことになります。

人格の中には、自傷や他害(犯罪など)を表面化する人格もいるので、公認心理師としては確実に医療に繋げることが重要になります。何より自傷や他害のあとに、記憶がないというケースも多いことから、そうした被害を予防するためにも適切な治療に繋げることが必要になります。

非憑依型

非憑依型では、他者から見て、他の人格が身体をコントロールしているようには見えません。本人からしても、勝手に身体が操られているように感じたり、他者視点で自分が主役の映画を見ているかのように感じることもあるようです。

解離性同一性障害の診断基準

DSM−5 精神疾患の分類と診断の手引

A.2つまたはそれ以上の、他とはっきりと区別されるパーソナリティ状態によって特徴づけられた同一性の破綻で、文化によっては憑依体験と記述されうる。同一性の破綻とは、自己感覚や意思作用感明らかな不連続を意味し、感情、行動、意識、記憶、知覚、認知、および/または感覚運動機能の変容を伴う。これらの特徴や症状は他の人より観察される場合もあれば、本人から報告されることもある。

B.日々の出来事、重要な個人的情報、および/または心的外傷的な出来事の想起についての空白の繰り返しであり、それらは通常の物忘れでは説明がつかない。

C.その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.その障害は、広く受け入れられた文化的または宗教的な慣習の正常な部分とはいえない。

E.その症状は物資や他の医学的疾患生理学的作用によるものではない。

解離性同一性障害の治療

治療は、心理療法が施されます。自傷と他害の有無にかかわらず、精神科病院による隔離治療が必要になることがあります。そのため、まずは医療に繋げることが重要です。

心理療法では、各人格を一つに統合させていく方向で進められます。しかしながら、この方法には賛否あることもあり、治療が必ず成功するということはないとされています。

これは、個人的な意見ですが、あらゆる精神疾患の中でも限りなくカウンセラーの技量が重要な症例と言えます。そのため、チームで継続的に支援できる体制が整っている精神科病院での治療が推奨されています。

もし、公認心理師として、解離性同一性障害と思われる方に遭遇した場合は、適切にリファーすることおすすめします。