素行障害/素行症(行為障害)【公認心理師試験対策】
素行障害/素行症
素行障害/素行症(Conduct Disorder)とは、他者の基本的人権を侵害する行動様式をとることによって、学業や社会生活に支障がある状態を指します。以前は「行為障害」と呼称されていました。
素行障害は、学校現場において診断までされていないが、診断基準に当てはまるような子がいます。実際に診断がつくのは、専ら少年事件における少年鑑別や生徒指導上の問題を起こした際のスクールカウンセラーから精神医療への紹介などがあった場合です。
素行障害は、親が何らかの薬物乱用やアルコール依存症、反社会性パーソナリティ障害などがあること、子どもに対する虐待(暴力シーンを見せるなども含む)があることが多いとされています。ただし、一見として健全な家庭でも発現することもあります。
素行障害は、反社会性パーソナリティ障害の前段階とも捉えられていて、犯罪と結びつきやすいものとされています。
反社会性パーソナリティ障害は、一般的にはサイコパスと言われていますが、精神医療では脳の共感性を司る部分の機能異常とする説があり、遺伝的要因が大きいとも言われています。そのため治療の対象にしないあるいはできないとする研究者もいます。
診断基準(DSM−Ⅴ)
『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』から引用
A.他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式で、以下の15の基準のうちどの基準群からで?お3つが過去12ヵ月のうちに存在し、基準の少なくとも1つは過去6ヵ月の間に存在したことによって明らかとなる
人および動物に対する攻撃性
- (1)しばしば他人をいじめ、脅迫し、または威嚇する。
- (2)しばしば取っ組み合いの喧嘩を始める。
- (3)他人に重大な身体的危害を与えるような凶器を使用したことがある。
- (4)人に対して身体的に残酷であった。
- (5)動物に対して身体的に残酷であった。
- (6)被害者の面前で盗みをしたことがある。
- (7)性行為を強いたことがある。
所有物の破壊
- (8)重大な損害を与えるために故意に放火したことがある。
- (9)故意に他人の所有物を破壊したことがある。
虚偽性や窃盗
- (10)他人の住居、建造物、または車に放火したことがある。
- (11)物または好意を得たり、または義務を逃れるためにしばしば嘘をつく。
- (12)被害者の面前ではなく、多少価値のある物品を盗んだことがある。
重大な規則違反
- (13)親の禁止にもかかわらず、しばしば夜間に外出する行為が13歳未満から始まる。
- (14)親または親代わりの人の家に住んでいる間に、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回、または長期にわたって家に帰らないことが1回あった。
- (15)しばしば学校を怠ける行為が13歳未満から始まる。
B.その行動の障害は、臨床的に意味のある社会的、学業的、または職業的機能の障害を引き起こしている。
C.その人が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準を満たさない。
素行障害の治療・支援
素行障害は、犯罪や問題を起こしたあとに診断されることが多いことから、保護観察や児童自立支援施設における更生教育や少年院における矯正教育が行われています。
犯罪や問題を起こす前に医療に繋がった場合は、心理療法(カウンセリング)によって、自己のコントロールを学んだり、関連する発達障害や要因となる環境の改善などの支援が施されます。
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